投資信託 入門

資産形成をする手段として、投資初心者にお勧めされるのが投資信託。

この言葉はよく耳にする人も多いと思うが、その意味をきちんと理解している人は少ないだろう。

なぜ初心者にお勧めなのか? そして、投資信託は初心者でも儲かりやすいのか?

これらの疑問も交えて、投資信託の概要からメリット・デメリットも併せて解説していく。

投資信託とは?

投資信託とは、プロの投資家に資金を渡し、資産運用を全て任せる方法のこと。

信託とは、信じて託す(任せる)という意味で、プロを信じて投資を任せるのが、投資信託である。

本来であれば、株式投資などをする際、一つ一つの企業の業績や将来性について調査した上で、投資の判断を行っていくもの。

分散投資が重要だと説かれる昨今では、数十社~数百社に分散して投資したほうが安全なので、その調査にかかる労力は無視できないものとなる。

普段仕事をしている会社員の場合は、このような投資先の調査に割ける時間など無いだろう。

そこで、投資信託という金融商品が誕生し、面倒な調査や売買はすべてプロに任せる。その代わり、プロに手数料を毎月支払う。

これにより、手数料が毎月引かれるのは痛いが、経験豊富なプロが自分の代わりに資産運用を行ってくれるので非常に楽である。

手数料の種類

投資信託は、プロの専門家に運用を任せるので、その担当者に支払う給料は投資家からの手数料で賄う必要がある。

ここで、投資信託に関する手数料について解説しておきたい。

  • 販売手数料:投資信託を購入する際にかかる手数料
  • 信託報酬:投資信託を保有している間に毎月支払う手数料
  • 信託財産留保額:投資信託を売却する際にかかる手数料

主に上記の3つの手数料が取られる事になるので、投資する際は十分に理解しておいてもらいたい。

購入と売却はそれぞれ1度だけしか取られないが、信託報酬に関しては投資している期間中は永遠に引かれる手数料なので、できる限り安く抑えたいところ。

信託報酬は運用会社によって大きく異なるが、0.3%を基準に安いかどうかを判断すると良いだろう。

0.3%より高ければ割高で、0.3%より低ければ安いと判断する。

0.5%より上は基本的に選ばないほうが無難で、1%より高いのはボッタくりなので論外だ。

ちなみに、投資の世界で平均的な利回りというのが、年利3%前後と言われている。

例え、年間3%のリターンを得られても、1%の手数料を取られていては、手元に残るのは2%分のリターンとなる。

さらにそこから、税金を20%支払う事になるので、思ったよりも儲からない。だからこそ、手数料は可能な限り低く抑えることが重要だ。

基準価格とは?

株式投資での取引単位は○○株 に対して、投資信託での取引単位は○○口(くち)で取引される。

投資信託の1口あたりの価格の事を、基準価格と呼び、1日1回のみ価格が更新される。

投資家が実際に取引する際は、この基準価格をもとに取引される仕組みである。


多くのケースでは、基準価格には1万口あたりの価格が表示されている。

純資産額とは、ファンド(運用会社)が保有している資産総額の現在価値を表す。保有している金融商品が値上がりすれば、純資産総額も上昇していく。

この純資産総額は、その投資信託の人気度を示すものでもあり、金額が多ければ沢山の投資家が資金をつぎ込んでいる証拠でもある。

インデックスとアクティブ

投資信託は、様々な証券会社や機関投資家が用意しているので、いろんな種類が存在している。

世界中には数千種類以上の投資信託が販売されているので、自分に合った商品を選別しなくてはならない。

たくさん存在する中でも、投資信託は大きく分けると2種類に分類できる。

  • インデックス・ファンド:株価指数に連動するように設計された投資信託
  • アクティブ・ファンド:株価指数のパフォーマンスを上回るように運用される投資信託

インデックスとは指数の事で、日本で有名な株価指数のうちに、TOPIXと呼ばれる指数がある。

株価指数とは、株式相場の状況を示すために、個々の株価を一定の計算方法で総合し、数値化したもの。

TOPIXは、東証一部上場企業を全て対象としており、TOPIXの価格に連動するよう設計されたインデックス・ファンドがある。

インデックス・ファンドは指数に連動するように調整しておくだけなので、プロの担当者も手間がかからない。

その為、インデックス・ファンドは手数料が安く設定されているケースが多く、人気も高い。

アクティブ・ファンドは、株価指数よりも高い利益を出すことを目的として、プロの担当者達が慎重に議論を重ね、優良な企業を選定して投資するもの。

調査に時間を費やす分、信託報酬(手数料)は高くなりやすいので、初心者にはあまり人気がない。

これだけ聞くと、インデックス・ファンドより手間暇かけているアクティブ・ファンドのほうが利益を出してくれそうな雰囲気だが、実際はインデックス・ファンドのほうが遥かにリターンが高い。

つまり、手数料が安いインデックス・ファンドのほうが、手数料が高いアクティブ・ファンドよりも、高いリターンを出し続けてきた実績があるので、もはやアクティブ・ファンドを選ぶ意味は無いと言われている。

この事からも、初心者にはインデックス・ファンドを選択することが無難と言える。

しかし、近年ではこのインデックス・ファンドにも重大な懸念が潜んでいるので、そちらに関しては下記のサイトで解説しているので参考にしてもらいたい。

インデックス・ファンドに潜む懸念

メリット

1. 小額投資が可能

株式投資をする際は、最低限購入株数というのが決まっており、1社の株式を購入するなら5万円とか10万円といった大金を用意にしなければ、そもそも買うことすらできない。

その為、株式投資は資金を豊富に持っている投資家でなければ分散投資も実現できず、リスクが高まってしまう。

しかし、投資信託は運用会社が大勢の投資家から資金を集めてから投資するので、たくさんの株式を購入できる。

運用会社が保有している株の中から、投資家が投資した資金に応じて株数を割り当ててくれる。

これにより、本来は100株単位でしか売買できないところを、投資信託を通じて0.1株(数百円)単位での購入が可能となる。

資金力が乏しい20代にはありがたいサービスである。

2. 手間がかからない

投資信託の最大の魅力は、やはり運用における手間がかからない事だろう。

運用自体はプロの担当者に任せていればいいので、普段は仕事をしている会社員は投資の事を気にする必要はない。

インデックス・ファンドの人気な投資信託であれば、途中で下がる事があっても、長期的に見れば価格は上昇し続けている実績があるので、頻繁に価格をチェックしなくていいだろう。


上記のチャートは、楽天・全米株式インデックス・マザーファンドの価格推移であり、コロナショックで一時的に暴落したものの、下落した幅以上の値上がりを見せている。

このように、長期的に期待できそうな投資信託を見つけたら、後はひたすらに積み立て投資を継続するだけで、将来的には資産が大きく成長できるはずだ。

デメリット

1. 売買タイミングにラグがある

株や債券と違って、投資信託はリアルタイムに取引ができない仕組みとなっている。

例えば、○○企業が負債を抱えたままデフォルトしそう というニュースを聞いたとしても、今すぐ保有している投資信託を売却する事が出来ない。

事前に売却注文を出しておき、一般的には翌日以降に取引が決済されるので、たった1日の間に価格が大きく変動していた場合は、自分が思っていた価格とずれて約定されてしまう。

その為、実際に取引する場合は多少の価格変動は受け入れたうえで、注文を出すようにしよう。

2. 手数料がかかる

先ほども説明したが、投資信託はプロの担当者に運用を任せる仕組みなので、運用担当者に支払う手数料の負担が発生する。

購入手数料・売却手数料・信託報酬と3つの手数料が取られる為、個別株投資をする際と比較すれば、負担は重いだろう。

よくニュースで批判されている、銀行員が老人に勧める投資信託の信託報酬は1%を超えるものも多い。

これは、1000万円投資すれば、年間10万円の手数料を必ず抜き取られる事になる。

しかし、投資とは常に思い通りに動く訳ではなく、いかにプロの投資家であってもリターンが伸びないばかりか、マイナスになる事もありうる。

不確実性の高い相場に投資するのだから、せめて手数料だけでも抑えるように心掛けなければならない。

まとめ

  • 投資信託とは、プロの投資家に資金を渡し、資産運用を全て任せる方法
  • 投資信託の運用を任せるプロの専門家に、定期的に手数料を支払う必要がある
  • 信託報酬は、0.3%を基準として安いかどうかを判断する
  • 小額投資が可能
  • 分散投資が手軽にできる
  • 売買タイミングにラグがあるので注意

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