ETF運用ポートフォリオ

  • 2021年6月17日
  • 2022年11月20日
  • NISA

老後の資産形成をするうえでは、リスク分散された運用ポートフォリオを構築することが重要である。

しかし、投資を始めたばかりの素人が、どの銘柄をどれくらいの割合で保有すべきかなどを判断するのは難しいだろう。

筆者も最初は、何を基準に銘柄選びをすればいいのか分からず、いろんな情報サイトを巡回していた。

投資を始めて5年たった今、ようやく筆者がベストだと納得できるポートフォリオを組めたので紹介したいと思う。

銘柄選びに困っている人は、ぜひ参考にしてもらえると嬉しい。

分散投資の重要性

これから数十年という長期間にわたって投資を継続していく上で、必ず知っておくべき事がある。

それは、世界の先行きは不透明であり、専門家や政治家でさえ想定できないようなトラブルが起こり得ること。

直近の代表例だと、2020年の世界的パンデミックや、2022年のロシアによるウクライナ侵攻、歴史的な円安相場である。

コロナ流行直後では、株式市場のみならず、債券、不動産、暗号資産、そしてGoldでさえ大暴落する事態となった。

このように、今後も想定外のトラブルが突然起こり、自分の保有資産が著しく目減りする覚悟はしておかなければならない。

そこで重要となるのが、分散投資。

一つの銘柄だけに集中投資するよりも、複数の銘柄に分散して投資するほうが安全だ。

分散といっても、分散の対象は3つに区分できる。

 

  1. 市場 :株式市場、債券市場、不動産市場、コモディティ市場、暗号資産市場。 複数の市場に偏りなく投資する
  2. 銘柄 :株式市場の場合は、トヨタ株、花王株、ソフトバンク株、Google株。    複数の銘柄に投資する
  3. 時間 :一度にまとめて買わず、毎月小分けにして少しずつ購入していく

 

このように、3種類の分散を意識しながら投資する事で、価格変動リスクを極限まで抑える事が可能となるので、この考えを資産運用に取り入れてほしい。

筆者の運用ポートフォリオ

それでは、さっそく筆者が実際に運用している銘柄や配分について紹介する。

長期的に積み立てるのが前提なので、信託報酬 (運用手数料)ができるだけ安いETFを選別している。

なお、今回はETFを中心とした運用ポートフォリオなので、個別株は除外している。

株式:60%

  • 20%:VOO  (米国株)
  • 10%:VYM  (米国株)
  • 10%:VGK  (欧州株)
  • 10%:2800  (中国株)
  • 4% :2836  (インド株)
  • 4% :3087  (ベトナム株)
  • 2% :1329  (日本株)

 

株式の割合は、資産全体の60%と大部分を占めている。

世界経済が今後も成長すると信じるなら、株価上昇と増配に期待して、積極的に株式を買いたいところだ。

上記で紹介したETFで運用すると、「米国、欧州、日本、途上国」と、世界中に分散投資ができる。

各ETFは、数百社~数千社という膨大な数の企業が投資対象のため、銘柄自体もしっかりと分散されているので安心。

国別で見ると米国の割合が最も高いが、これは株主還元の意識が強く、経済成長が今後も期待できるからである。

また、経済・軍事ともに著しい成長力を誇る中国への投資もしている。

今後も米国に匹敵する経済成長に期待し、中国株を買っておくのもアリだと思う。

とはいえ、台湾有事のリスクなど、中国は米国との覇権争いをしている以上、経済制裁や中国株の取引制限といったカントリーリスクも決して無視できるものではない。

そこで、インドやベトナムといった中国に並ぶ経済発展を遂げている途上国株式も買っておくといい。

コモディティ:30%

  • 10%:GLDM (金)
  •  5%:1542     (銀)
  •  5%:1541      (プラチナ)
  •  2%:1686    (産業用金属)
  •  2%:GDX     (金鉱株)
  •  2%:1687     (農業商品)
  •  2%:MOO   (農業企業)
  •  2%:FIW     (水処理企業)

 

コモディティの割合は、資産全体の30%を割り当てている。

配当金を生まないコモディティは、資産運用にあまり人気がないが、これからの時代は注目度が増してくると予測している。

各国政府が量的緩和に依存し、インフレが慢性的に続いていくシナリオに備える上で、コモディティ投資は有効である。

また、Bridgewaterの創設者、レイ・ダリオ氏もポートフォリオの10%程度は、Goldを取り入れるべきだと発言している。

量的緩和は経済危機が起きるたび大規模に行われるだろうし、インフレは長期トレンドと見ている為、コモディティは上昇継続していく可能性が高い。

30%もコモディティに投資したくないと思う人もいるだろう。だがせめて、Goldだけでも投資しておいたほうが安全かもしれない。

下図は、Gold価格チャートである。


ご覧の通り、Gold価格は1970年代以降から上昇し続けている。

これは、Goldの価値が上昇した証拠でもあり、法定通貨である米ドルの価値が下落した証拠でもある。

なぜなら、人々は米ドルを手放してでも、Goldを手に入れようとしており、その結果としてGold価格が上昇しているからである。

法定通貨の価値棄損が、どれだけ深刻化しているのかが、少しは実感していただけたのではないだろうか?

農業・水処理関連については、景気に左右されず人が生きていくうえで絶対に必要な分野である為、需要がなくなることはない。

さらに問題となっているのが、世界人口の増加による需要増加に対して、気候変動や地下水枯渇などによる供給不足という、需給バランスが崩れている状況が続いている点である。

ロシア・ウクライナ侵攻の影響もやはり深刻で、農作物や肥料が輸入できなくなったり、エネルギー資源高騰により、コモディティ価格の高止まりが続いている。

ウクライナ侵攻のさらなる激化や、中台戦争の勃発リスクなど、世界の貿易網が混乱する懸念事項は複数あり、やはりインフレ対策としてコモディティに投資しておくことの重要性は高まるのではないだろうか。

現金:10%

  • 3%:CNH (人民元)
  • 3%:CHF (フラン)
  • 2%:AUD (豪ドル)
  • 2%:USD (米ドル)

 

常に、一定金額の現金を保有しておく事も大切だ。

これから起こるであろう金融市場の大暴落時に、割安で大量に買い仕込むには、しっかりと現金余力を蓄えておかなければならない。

また、2022年の歴史的な円安相場を目の当たりにしたことで、通貨自体の分散も重要なことだと思い知らされた。

日本円だけを貯金していると、円安相場が続いた場合は外貨建て資産を購入する際に不利になるからだ。

特に日本の金利は世界的に見ても低水準で、経済成長率も先進国の中では低い。

日本円がこれから積極的に買われる展開は想像しづらく、外貨の保有もぜひ検討してみてほしい。

筆者の見解

今回は、私のETF運用ポートフォリオについて紹介した。

少子高齢化、労働人口減少、競争力低下、増税、低賃金、社会保障破綻危機、年金2000万円不足問題。

あまり暗い話ばかりしたくないが、未来の日本は今よりも厳しい状況が想定されている。

だからこそ、金融リテラシーを高め、金利が全くつかない銀行預金よりも資産運用を積極的に進めていく必要があるだろう。

幸いなことに、税制が優遇されたNISA制度なども用意されているので、お得な制度を賢く使いこなして、資産を増やしていきたい。

楽天証券の一般NISA制度なら、この記事で紹介したETFはすべてNISA対象に含まれているので、参考にしてもらいたい。

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