一般NISAとは?

  • 2021年1月20日
  • 2022年11月19日
  • NISA

昨今、NISA制度を利用し始める人が増えてきていると、ニュースでも取り上げられている。

投資の利益が非課税になる制度ということで、資産形成を検討している人からは非常に人気だ。

金融庁が国民に対して、積極的に資産運用を推奨した影響もあるのか、NISAの口座開設数は年々伸びている。

日本証券業協会 NISA口座数の推移 より引用

NISAには、一般NISAとつみたてNISAの2種類が用意されていて、素人の多くはつみたてNISAを選択しているようだが、ある程度の経験を積んでいて資産もそれなりにある人は、一般NISAの選択を検討してみてほしい。

筆者も現在は、一般NISAを利用しており資産形成の一助に役立てている。

そこで今回は、一般NISAのメリット・デメリットを解説するので、どちらのNISAを選択するか悩んでいる人は、判断材料に役立ててもらいたい。

ただし、長期的な資産運用を目的としている場合、人によってはNISAよりiDeCoのほうが適している可能性もあるため、下記の記事にも目を通しておいてもらいたい。

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは?

少額投資非課税制度(一般NISA)とは?

少額投資というだけあって、非課税対象の投資金額上限は年間120万円までと決まっている。

そのため、数千万円~数億円規模の資金を運用している投資家からすれば物足りないかもしれない。

とはいえ、本来であれば20%もの税金を支払うところを、利益全額が自分の手元に残せる制度はありがたいので、賢く活用していきたい。

一般NISAのメリット

1. 利益が5年間非課税

通常、株投資で100万円の利益が出れば20%の課税によって、20万円が税金でとられて、手元に残るのは80万円となる。

しかし、一般NISA口座を通じて株を購入した場合は、購入日から5年間は発生した利益は非課税扱いにしてもらえる。

一般NISAの対象となる金融商品は、上場株式・株式投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)など。

 

次に、購入から5年経過したあとの、運用について確認しておこう。

例えば、2020年にA社の株を120万円分、一般NISA口座で購入したケース。

5年が経過した後、金融商品を売却せずに持っておきたい場合は、以下の手段を取る事になる。

 

  1. 一般NISAから、通常の口座に移す。ただし、以降は利益に20%課税される。
  2. ロールオーバー (翌年の非課税枠に移す方法)を活用する。

 

基本的には①の選択肢を選ぶことになる。単純に、NISA口座から通常口座に移すだけの作業で、売却益や配当金には通常通り20%課税されることになる。

しかし、5年経過した後でも通常口座に移さず、NISA口座のまま運用を継続する②の手段も検討する価値はある。

一般NISA口座で保有する金融商品を、翌年の非課税枠に移すことが可能である。

これをロールオーバーと呼び、金額に上限はなく、全額を翌年の非課税枠に移せる。

先ほどのケースでいうと、120万円で買ったA社の株価が、5年後の2024年末に200万円に株価が上昇していたとする。

この 120万円(投資元本)+ 80万円(含み益) を合算した200万円(現在価値)を全て、2025年のNISA非課税枠に移せる。

非課税枠は120万円が上限だが、ロールオーバーに限り、120万円の上限を超えていても許容される。

ただし、上限の120万円を超えたロールオーバーをした場合は、すでに非課税枠を使い切ったと判定され、その年(2025年)は新たにNISA口座で株を買い増しすることはできない点には注意が必要。

ロールオーバーした金額分だけ非課税枠を消費するので、例えば40万円相当の資産をロールオーバーした場合は、まだ80万円分の非課税枠があるので、その範囲であれば株の買い増しが可能である。

このように、賢くロールオーバーの仕組みを活用することで、さらに追加で5年間の非課税期間が適用される。

2. いつでも売却・出金が可能

iDeCoの場合、運用資産は60歳以降でないと引き出せない制約があるものの、NISAではそのような縛りは存在しない。

いつでも好きな時に現金化して、銀行口座に出金することが可能なので、急な出費でいますぐ現金が必要になったケースにも柔軟に対応できるだろう。

また、iDeCoでは投資信託がメインの運用になってくるので、売却注文を出してから実際に保有資産を売却するまでに日数を要する場合が多い。

さらに、iDeCoでは売却する際は現金化した資金で、次に何を購入するのかまで指定しないといけない。

つまり、一旦リスク資産を全て売却し、現金で保有しておくといった手段が取れないのである。

NISAではこのような制約がなく、株やETFであればリアルタイムで売買が可能であるうえ、リスク資産を売り現金で保有しておく事も当然できるため、市場がクラッシュしそうな危険な相場にも対応しやすい。

一般NISAのデメリット

1. 通常口座から一般NISA口座に移行不能。

一般NISAを利用する前から、株式や投資信託などの金融商品を保有している場合、それらを一般NISA口座に移行することはできない。

ただし、一般NISA口座の株式や投資信託を、通常の口座に移行するのは可能。

2,非課税の投資枠を翌年以降に繰り越せない

非課税枠120万円枠を使い切らずに余っていても、それを翌年以降に繰り越して利用することはできない。

例えば、2020年は資金に余裕がなく、30万円しか投資できなかった場合は、まだ90万円分の枠が残っている。

しかし、翌年の2021年は非課税枠の上限が120万円に変わりはないので、トータルで見た場合は機会損失となる。

3,損失が出ても損益通算や売却益の繰り越し控除ができない

まず、通常口座とNISA口座の損益を通算して相殺することができない。

さらに、損失を3年間繰り越せる「譲渡損失の繰り越し控除」を受けられない。

資金に乏しい小口投資家や、投資経験の少ない人は、投資をする際は通常の口座で取引するのは辞め、一般NISAのみに絞るほうがよいかもしれない。

そして、大きく損失を出しやすいハイリスクな金融商品ばかりに投資をしないことも大切だ。

4,課税口座へ振り替える場合、非課税期間終了時の時価が取得価格となる。

一般NISA口座で含み損を抱えたまま非課税期間が終了し、通常口座へ移動させた場合、移動した時点の価格が取得価格と認定されてしまい、損失を出しているのにも関わらず税金を支払う羽目になるリスクもある。

<非課税期間 終了時に保有資産が暴落した場合>

購入価格120万円 新しい取得価格60万円 売却価格90万円 利益30万円  ←課税対象! 


投資元本120万円が最終的に、90万円まで減ってしまったので、実際には30万円損している。

しかし課税の仕組み上、NISAから通常口座へ移動したタイミングの時価が、通常口座での取得価格としてみなされるため、そこから株価が上昇すると利益が出たとみなされてしまう。

この課税リスクに対処する方法として、一般NISAから通常口座に移す際、仮に含み損を抱えているのであれば、一旦全て売却しておくべきだろう。

一般NISAの加入資格

一般NISAは、日本在住で20歳以上の人なら誰でも利用可能。

ただし、つみたてNISAの口座との併用は不可。

年単位で別の金融機関への変更や、一般NISAからつみたてNISAへの変更も可能である。

一般NISAを開始するまでの流れ

まずは、一般NISAの口座開設をする必要があるので、どの金融機関に申請するかを決める。

一般NISAの口座は、一人につき1口座と決まっているので、金融機関を選ぶ際は十分検討しておくべきだろう。

必要な書類を送付する際は、その業者から詳しい手順書が送られてくるので、それに従えばよいが、審査過程で税務署によるチェックが入るようだ。

基本的に、なんの問題もなければ審査は通ると思うが、税務関係でトラブルを抱えている人は弾かれる可能性があるので注意。

筆者の見解

今回は、一般NISAの概要について解説してきた。

資産形成をする上で、税制が優遇されたお得な制度を積極的に活用するのは大切。

私自身、20歳から資産形成・資産運用に興味を持ち、下記のような分類に分けて、制度を活用している。

  • 生活資金や有事への備え     普通預金・自宅で現金保管
  • 将来の大きな支出への備え :一般NISA・通常口座で株式投資
  • 老後の生活資金不足への備え:iDeCo・DC

     

若いうちから、コツコツと継続してお金を運用していく事で、いざという時に焦らずに済むだろう。

しかし、くれぐれも無理のない範囲で資産運用に取り組んでほしい。

将来の為に投資をしているはずが、今の生活が破綻してしまうようでは本末転倒である。

投資は計画的に。

まとめ

  • 年間120万円までの投資収益が5年間非課税
  • ロールオーバーする事で、非課税期間を延長可能
  • iDeCoと違い、いつでも出金に対応可能
  • 損益通算や繰り越し控除ができない

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