インフレ対策として、金属関連への投資が注目されているものの、農業関連への投資はあまり話題になっていないようだ。
著名投資家、ジム・ロジャーズ氏は世界人口が今後も増えていく上で食糧不足問題を懸念している。
日本では少子高齢化の影響で人口が減っているので、危機感を抱いている国民は少ない事だろう。
しかし、日本人が減り続けている事で農家を継ぐ人も見つからない状況が続いてしまっており、日本の農業産業が衰退し生産量が減り続けている問題がある。
海外からの農作物輸入価格に関しても今後は需要が高まるにつれて、輸入コストが大きく上昇していく事が想定される。
そういった背景があるがゆえ、ジム・ロジャーズ氏は日本の農地を安いうちに買っておけとも発言している。
人間が生きていく上で絶対に欠かすことのできない食料、長期的な視点で見れば農業関連のビジネスは伸びそうに思える。
そこで今回は、農業商品にまとめて投資ができるETF、1687を紹介しておこう。
1687ETFは、私も長期運用ポートフォリオに組み込んでいるので、参考にしてもらいたい。
1687の基本情報
- 運用会社:ウィズダムツリー・マネジメント・ジャージー・リミテッド
- 運用開始:2010年
- 連動指数:Bloomberg Agriculture Subindex
- 構成銘柄:とうもろこし(21%)、大豆(18%)、大豆油(13%)、大豆粕(10%)、砂糖(9%)
- 信託報酬:0.49%
- 取引単位:10株
- 現在価格:600円
- 配当利回り:0%
1687の価格推移
それでは、1687の価格を見てみよう。
1687の価格は、2011年に最高値を付けた後に、大幅に暴落する格好となっている。
農業商品の価格に関しては、これまで長期下落トレンドが続いた訳だが、その要因がずばり技術発展による大量生産が容易になった事だ。
需要に対して供給過多な状況が続いた為に価格も伸び悩んでいたのだが、最近では人口が増加し続けた事に加え、コロナショックによるサプライチェーン分断、自然災害が世界各地で頻発した影響で農作地が大打撃、金融緩和によるコモディティ市場への資金流入。
これら様々な要因によって、農業商品の価格が2021年を起点に大幅反発している。
日本では特に食料自給率が2020年では37%前後であった事が農林水産省により発表されている。
我々が口にする食材の半分以上は海外からの輸入で賄われているので、農業商品への関心は高めておいたほうが良いだろ。
メリット
1. 楽天証券で買うと手数料が無料
通常、株やETFを購入する場合は、購入する際に買付手数料を支払う必要がある。
この買付手数料は、信託報酬と違って買う時だけしか掛からないのだが、100円前後支払う必要がある。
また、保有資産を売却する場合にも同様、売却手数料を支払わなければならない。
このように、積み立て投資などで頻繁に取引するケースでは、結果的に多くの取引コストがかかってしまうのは痛いものだ。
しかし、楽天証券では「一日定額コース」を選択する事で、これらの取引手数料が無料にできるのでお勧め。
まとめ
今回の記事では、農業商品のETFである1687をご紹介してきた。
今の日本にかつての経済成長力は無く、国の経済規模も生産能力も落ちていく一方だ。
日本は小さな島国でエネルギー資源も乏しく、また1億人の国民全員を食いつなげるだけの食料も生産できない。
その為、海外からの輸入に頼っている訳だが、ここに来て日本の財政赤字問題や経済低成長が足を引っ張る形で円安が加速している事が懸念されている。
円安、つまり日本円の価値が他国の通貨と比較して下がっている事を意味し、他国からエネルギー資源や農作物を購入する際の為替負担が重くなる。
これは為替の観点から輸入コストが全体的に上昇する為、日本国内の物価にも上昇圧力をかける可能性がある。
日本は給料が一向に上がらないデフレ状態が続いていたが、ようやくデフレから脱却し、インフレが到来するかもしれない。
しかし、政治家が望んでいたような良いインフレとは言えず、給料が上がらないのに輸入コスト増加による物価だけが一方的に上昇するシナリオも十分にあり得るだろう。
これがいわゆる、スタグフレーションと呼ばれる状態であるが、この嬉しくないシナリオに対する備えとして、外貨建ての資産を保有する事は対策として有効的である。
1687ETFの対象指数は、米ドル建てで取引されるので、農業という分野と米ドルという外貨の2重の側面から分散投資ができる。
1687は、私も実際に長期投資のポートフォリオに組み込んでいるので、よかったら参考にしてみてほしい。
ただし、あくまでポートフォリオのごく僅かに留めておく事を推奨しておく。