水処理企業ETF PIOの解説

島国の日本ではあまり知られていないが、世界各地では深刻な水不足が問題となっている。

これには2つの要因があり、工場や生活用水などの水使用量自体が昔と比べて増加した事と、世界人口が増加し続けているので水を必要とする需要が急激に高まっている事だ。

世界人口は2020年75億人だが、2050年には100億人を突破する可能性が高いと言われている。

途上国での経済発展が進むにつれて、工業用水や生活用水の需要がこれまで以上に高まるにつれて、水の供給が追い付かなくなるのは時間の問題である。

日本も他人事ではなく、日本の綺麗な水に目を付けた中国人達が北海道の土地を買い漁っており、事実上占領状態にある事はニュースでも度々問題視されてきた。

また、広大な農業地域では良質な地下水を汲み上げて農業に活用してきたが、ここにきて地下水が枯渇してきた地域が世界的に広がってきているのだ。

水不足が原因で農作物の大量生産ができなくなると、農作物の価格自体も高騰し、家畜に与えるエサの穀物価格も高騰する為、連鎖的に肉の価格も高騰するという事態になりかねない。

将来的には、穀物全般の輸入価格が高騰し生活が苦しくなるだけでなく、肉が高級品扱いとなり、貧乏人は肉を食べられなくなる時代が到来する可能性も否定はできない。

また、人類は長い歴史の中で、水を巡った殺し合いを何度も繰り返してきた。

考えても見てほしい。のどが渇いても飲み水が手に入らない。そんな状況が何日も続いたら人々はどうなってしまうのか?

そんな状況で、僅かに水が残っている場所を見つけたら、人々は他人と平等に分け合い平和に生活していけるのだろうか?

少なくとも、過去の歴史を見ればそんな夢物語は実現されず、水資源や土地を巡って戦争をしてきたのが事実。

日本の良質な水資源を、外国勢力の魔の手から守る為にも、我々日本人は今一度、水の大切さについてよく理解すべきである。

前置きが長くなってしまったが、今回は家庭や産業で安心して使ってもらえるように水を浄化する製品を製造する、水処理関連の企業にまとめて投資ができるETF、PIOを紹介したいと思う。

PIOは、私も長期運用ポートフォリオに組み込んでいるので参考にしてもらいたい。

PIOの基本情報

  • 運用会社:Invesco
  • 運用開始:2007年
  • 連動指数:Nasdaq OMX Global Water
  • 信託報酬:0.75%
  • 取引単位:1株
  • 現在価格:4000円
  • 配当利回り:1.7%

構成銘柄

 

企業名 割合
8.8%
エコラボ 7.8%
ダナハー 7.6%
ペンテラ 7.4%
ギーベリッツ 6.1%
4.3%
4.2%
4.1%
3.9%
TOTO 3.8%

 

 

 

 

日本の企業TOTOもPIOに組み込まれている。PIOは全部で、46社に分散投資されている。

次に、国別の内訳を見ておこう。

 

国名 割合
アメリカ 55%
イギリス 13%
スイス 7.5%
日本 6%
フランス 4%
中国 3.1%
ブラジル 2.4%
ニュージーランド 1.8%
韓国 1.7%
スペイン 1.5%

 

 

 

 

アメリカが全体の半分を占めており、国単位での分散効果はほぼないと思われる。

しかし、アメリカの高度な技術を駆使した水処理関連の製品は、SDGsの観点から見ても、今後も売れ行きは好調との見方が根強い。

SDGsが世界的に取り組まれるのと同時に、投資の世界においても、SDGsに積極的に取り組む民間企業を応援すべきとの風潮が高まっており、その点水処理関連企業は世界の人々に安全で良質な水を届けるという使命がある為、機関投資家からの資金もESG銘柄の対象として入ってきやすいのではないだろうか?

PIOの価格推移

それでは、PIOの価格を見てみよう。

 

PIOの価格に関しては、2008年のリーマンショック時に最安値を付けたのを最後に、長期上昇トレンドが続いている。

コロナショック時に2000円まで落ち込んだものの、量的緩和と景気回復需要により買い戻しが入っている状況。

今は歴史上最高値圏を推移している為、強気で買いに行く場面とは思えないので、次に下落してきた時を積極的に買い仕込んでいきたいと考えている。

水資源関連株は、市場規模としてはまだまだ小さく発展途上である為、30年後に世界人口が100億人を突破した頃には、水の需要は現在とは比較にならないほど高まり、かなり重要なテーマの一つとして取り上げられる可能性は高いと見ている。

信託報酬が0.75%とかなり高いものの、長期的に大きく株価が上昇してくれれば、かなり利益を享受できる分野だと思うので、安くなったらぜひ購入を検討してみてはどうだろうか?

メリット

1. NISAで買うと手数料が無料

通常、株やETFを購入する場合は、購入する際に買付手数料を支払う必要がある。

この買付手数料は、信託報酬と違って買う時だけしか掛からないのだが、100円前後支払う必要がある。

また、保有資産を売却する場合にも同様、売却手数料を支払わなければならない。

このように、積み立て投資などで頻繁に取引するケースでは、結果的に多くの取引コストがかかってしまうのは痛いものだ。

しかし、楽天証券では「一般NISA」を選択する事で、これらの取引手数料が無料にできるのでお勧め。

まとめ

今回の記事では、水処理関連企業のETFであるPIOをご紹介してきた。

水処理関連ビジネスは今後も拡大し、また農作物と同じく、水も人間が生きていく上で絶対に必要な資源の一つである以上、価値が0になる事は決してないはずだ。

もし、世界的に水不足が深刻な課題であるという事実を知らなかったのなら、実際にPIOへ投資してみるのも面白いと思う。

人は自分の大切なお金を投資していると、自然とその対象の事について調べようとするからだ。

そうしていく上で、当初は投資でお金を稼ぐ事だけが目的だったかもしれないが、徐々に世界で起こっている出来事について興味が沸くようになり、幅広い知識を吸収できて投資そのものが楽しめるようになる。

これを機に、水不足というテーマについて自分で調べてみてはどうだろう?

PIOは、私も実際に長期投資のポートフォリオに組み込んでいるので、よかったら参考にしてみてほしい。

ただし、あくまでポートフォリオのごく僅かに留めておく事を推奨しておく。

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