暗号資産にかかる税金

暗号資産の投資を始める前に、必ず知っておくべき事がある。

 

それは、税金だ。

納税は国民の義務であり、必ず納めなければならない。

 

当然、暗号資産の利益に対しても税金はかかる。

とても大切な内容なので、必ず理解して覚えておこう。

過去の惨劇

暗号資産の税金に関する、正しい知識がなかったせいで、人生が一瞬で狂った投資家も過去に大勢いた。

 

実際に、悲惨な結末を迎えた人の記事を紹介する。

「国税局から指摘された’18年度分の所得の申告漏れ額は約5300万円でした。追徴税額は加算税などを含めて、約3000万円。私の今の年収は300万円ほどですから、一生かかっても完納は不可能です。

暗号資産「元・億り人」を次々に襲う「人生棒に振るほどの重税」 より引用

 

実は、2017年の暗号資産バブル時に儲かった人の中には、その後の取引で大損してしまい、前年度の税金分を用意できなくなった人が多いのだ。

 

上記の事例のように、もう手元にお金が残っていないのに、数千万円の税金を課された場合、その後の人生が崩壊するのは容易に想像がつくだろう。

皆さんは税金トラブルで困る事がないよう、しっかりと税金の知識を身に付けよう。

 

では実際に、暗号資産の税金は、どれだけ支払う必要があるのかを解説する。

 

税金発生のタイミング

まずは、どのタイミングで課税されるのかを確認しておこう。

 

暗号資産の課税タイミングは、大きく分けて3つある。

  1. 暗号資産でモノ・サービス代金を支払う時
  2. 暗号資産を売却した時
  3. 暗号資産で、別の暗号資産を購入した時

 

1. 暗号資産でモノ・サービス代金を支払う時

暗号資産を購入した時の価格より、決済する時の暗号資産の価格が高い場合、その差額が課税対象となる。

 

例を挙げて説明。

  1. 現在、1BTCの価格が10万円。
  2. 10万円を支払い、1BTCを購入。
  3. その後、1BTCの価格が30万円に上昇。
  4. 30万円のテレビを、1BTCで決済(支払う)。
  5. 差額20万円を利益と見なし、課税対象と判断する。

 

1BTCの購入時(10万円)と、決済時(30万円)の差額20万円に対して税金が掛かる。

少し、分かりにくいかな?  『 私の説明が下手で申し訳ない。( ;∀;)  』

 

要するに、30万円のテレビを買う為に、実際に自分の財布から支払ったのは10万円だけだ。

10万円で購入した1BTCの価格が、たまたま30万円に値上がりしたから、結果的に20万円得をしていると解釈できる。

 

この得をしたと判断される、「暗号資産の購入価格」と決済時の暗号資産の価格」差額を利益と見なす訳だ。

BTC:暗号資産ビットコインの通貨記号。日本円をJPYと略称するのと同じ。
 

2. 暗号資産を売却した時

これが皆さんに、最も関係あるので、よく覚えておいて下さい。

保有している暗号資産の価格が、購入時よりも価格が上昇している時に売却すると、その差額に対して税金が掛かる。

 

例を挙げて説明。

  1. 現在、1BTCの価格が10万円。
  2. 10万円を支払い、1BTCを購入。
  3. その後、1BTCの価格が30万円に上昇。
  4. 1BTCを売却し、現金30万円を受け取る。
  5. 差額20万円を利益と見なし、課税対象と判断する。

 

これは単純で、理解しやすいだろう。

投資の基本は、安く買って、高く売る事。

そして、その差額を利益と見なし、課税対象とする。それだけの話だ。

 

3. 暗号資産で、別の暗号資産を購入した時

これが、本当にややこしくて、私も計算に戸惑っている。

難しいと思うが、頑張って理解していただきたい。

 

暗号資産の種類は3000種類を超えているが、日本国内の取引所で取り扱っているのは、ほんの10種類ほどしかない。

その為、自分が買いたい通貨が国内に無い場合は、海外の取引所を利用する必要がある。

海外の取引所では、日本円に未対応なので、BTCで他の暗号資産を購入する形式が一般的。

 

現在の暗号資産の価格が、購入時価格よりも高い時に、その暗号資産で別の暗号資産を購入すると、その差額に対して税金がかかる。

 

難しいので、例を挙げて説明する。

現金で暗号資産Aを買い、暗号資産A暗号資産Bを購入する場合。

  1. 現在、暗号資産Aの価格が10万円。
  2. 10万円を支払い、暗号資産Aを購入。
  3. その後、暗号資産Aの価格が30万円に上昇。
  4. 暗号資産Aで、暗号資産Bを30万円分 購入。
  5. 差額20万円を利益と見なし、課税対象と判断する。

 

これは要するに、自分の財布からは実際10万円しか払ってないのに、暗号資産Bを30万円分購入できている。

この差額20万円を利益と見なして、課税対象とされる訳だ。

 

この理屈は分かるのだが、重大な危険が潜んでいる事に注意してほしい。

上記の例の説明では、実質10万円で暗号資産Bを30万円分、購入できていた。

 

それ自体は、素晴らしい事だし、投資家としても喜ぶべきだろう。

だが、その時点で差額20万円の利益に対して課税対象とされているのだ。

 

暗号資産Bを売らずに保有している状況で、価値が大暴落したらどうなるだろう?

資産価値は、ほぼ0に等しいにも関わらず、20万円の利益に対する税金の支払いだけが残る事になる。

税金が20万円なのではなく、20万円に対して各税率をかけて計算する
 

このような複雑な課税システムのせいで、過去に税金トラブルに悩まされた投資家は多い。

この税金対策として、年末には保有している全ての暗号資産を一旦売却する事だ。

 

価格が0円近くまで大暴落した暗号資産Bを、売却し現金化する事により、20万円あった利益がほとんど0になる。

利益がほとんど無くなった事で、税金もほとんど課税されなくなるという話だ。

 

その為、我々が本当に儲かったと言えるのは、保有している暗号資産を利益確定売りし、現金化した瞬間である事を覚えておこう。

 

誠に申し訳ないが、恐らく私の説明では理解できなかった人も多いだろう。

税金で分からない事があれば、やはり国税庁のサイトを直接参照するのが一番安心だ。

 

暗号資産の法律や税制は、毎年議論されている為、今後は大幅に変更される可能性がある。

税金の計算をする際は、必ず国税庁のサイトに目を通しておく事。

国税庁:暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について

税率

暗号資産の投資で得た利益は、「雑所得」という区分に分類されている。

 

雑所得は総合課税の対象なので、会社から給与を受け取っている人は、

給与所得  +  暗号資産の利益  =  課税対象所得 」となる。

 

ちなみに雑所得は、同じ雑所得区分であれば、他の所得との相殺が可能である。

 

例えば、暗号資産投資の利益と、アフィリエイト報酬は、どちらも雑所得の区分だ。

アフィリエイトの収入が100万円で、暗号資産の投資で100万円の損失が出ているなら相殺し、税金は0円となる。

 

下記が税率表だが、これは皆さんも一度は見た事があるのでは?

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

 

いわゆる累進課税と言うもので、貧しい人の税金負担は少なく、お金持ちから沢山の税金を取ろうという発想だ。

この仕組み自体に、別に不満はない。でも、最高45%の税率は高すぎないか?

 

それと、忘れてはいけないのが住民税

前年所得に対して一律10%の住民税が上乗せされる為、最大55%の税率が課せられる。

 

この他にも、社会保険料や健康保険料など、所得に応じて支払う金額が増減する固定出費が沢山ある事も忘れてはならない。

結局、総合利益の半分以上が税金で吹き飛ぶので、1億円を貯金するには、最低2億円以上を稼ぐ必要がある。

 

『 億り人になるのは、無理そうだなぁ。(笑) 』

億り人: 暗号資産の投資で億万長者になった人を指す
 

繰り越し控除が出来ない

日本の業者を利用した株式投資やFXでは、繰り越し控除が出来るので、損失を3年間繰り越す事が可能である。

繰越控除:今年の損失を控除しきれない場合、来年に引き継げる制度

 

しかし、暗号資産の利益は繰り越し控除が出来ない為、今年分の利益に対する税金はきちんと確保しておく必要がある。

 

例に挙げて説明する。
 
繰り越し控除が適用される、株式投資の場合>

 

2020年に、株式投資で1000万円の損失を出した。
その翌年の2021年に、株式投資で1000万円の利益を出した。
通常であれば、1000万円の利益に対して税金がかかるはずだが、
繰り越し控除が適用され、去年の1000万円の損失と今年の1000万円の利益を相殺する事で、課税金額は0円となる。
 
繰り越し控除ができない、暗号資産の場合

2020年に、暗号資産投資で1000万円の損失を出した。

その翌年の2021年に、暗号資産投資で1000万円の利益を出した。

通常どおり、1000万円の利益に対して税金がかかる。

今年は1000万円の利益が出ても、去年は1000万円の損失が出ている為、プラマイゼロだ。

いやむしろ、今年の1000万円の利益に対して税金(約300万円くらい?)を支払う必要があるので、大損しているのだ。

 

繰り越し控除の意味は、何となく理解できただろうか?

損益通算と仕組みが似ているので、混乱しないように気を付けてほしい。

 

暗号資産の場合は、損益通算は可能だが、繰り越し控除はできないと覚えておこう。

繰り越し控除があるかないかでは、投資をする上で非常に大きな差が出てくる。

 

今後、日本の税制が緩和される事を祈るばかりだ。

 

確定申告が必要なケース

皆さんは、確定申告をした事があるだろうか?

確定申告: 1年間の全ての収入を、税務署に報告し税金を納める手続き

 

会社員の人は、基本的に何もしなくても、会社が手続きしてくれるので、自分で確定申告書を作成した経験がない人も多いだろう。

 

昔は大変な作業だったが、今では確定申告の作業も簡略化が進んだおかげで、だいぶ楽になった。

それに、マイナンバーカードを所有していれば、自分のPCで必要書類を作成し、わざわざ税務署に出向かなくても、ネット経由で提出できるのだ。

 

確定申告書は、国税庁のサイトを参考にすれば、誰でも簡単に作成できるはずだ。

国税庁:所得税の確定申告 

 

それでは、確定申告が必要なケースを見ていこう。

 

  • 給与を貰う会社員(バイトも含む)は、暗号資産の利益が年間20万円を超えた場合
  • 給与収入が0円の学生・主婦は、暗号資産の利益が年間38万円を超えた場合
  • バイトなどの給与収入と暗号資産の利益の合計が年間103万円を超えた場合
 
上記3つが、暗号資産の利益で確定申告が必要なケースになるので、どれか一つでも自分に当てはまれば、しっかりと書類を準備しておこう。
 

hiroの見解

「一般人なら、多少の利益を誤魔化してもバレないだろう」そう思った人もいるのでは?

 

それは大間違いだ!

確かに、暗号資産の規制を設ける前は、確定申告をしなくても税務署にバレない人もいたそうだ。

 

だが、今では法規制も整い、脱税者を特定する専門チームが発足されたのだ。

暗号資産取引やネットオークション、民泊、動画配信などネットを介して個人が得た収入に適正に課税するため国税庁は5日、全国の国税局などに専門のプロジェクトチーム(PT)を設置し、情報収集の体制を強化すると発表した。多額の利益を得た顧客の情報を事業者から入手するなどして、無申告や過少申告による課税逃れを防止する。

個人のネット収入、国税庁が捕捉強化 暗号資産など より引用

 

あなたの取引履歴は税務署が全て把握しております。

 

税務署が個人の取引履歴の開示を要求すれば、国内の取引所は即座に従う。

『政府は、こういう税金の取り締まりに関しては、異常に対応が早いんですよね。(笑)』

 

結論:  安心した生活を送りたいなら、ルールはきちんと守ろう。

 

この記事で解説したのは、最低限知っておくべき知識だ。

確定申告をする際、分からない事が沢山でてくるだろう。

 

分からない事があれば、税務署に直接確認した方が確実だ。

より深く税金を学びたい人は、国税庁のサイトを参考にしていただきたい。

国税庁:所得税の確定申告 

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