プラチナ(Platinum)の解説

  • 2021年8月14日
  • 2021年8月14日
  • 貴金属

貴金属の中でも特に希少性が高い、プラチナ投資に興味はないだろうか?

なんとGoldよりも希少価値は高いとされ、自動車産業において必要不可欠な材料であり、現在価格もGoldより割安で手頃だ。

地球に存在する量もかなり限られている貴重な資源の為、長期投資には最適な銘柄と言えるだろう。

この記事では、プラチナ投資のメリット・デメリットについて解説していく。

プラチナ(Platinum)とは?

原子番号78、元素記号Pt

プラチナの主な用途としては、全体の6割はディーゼル車排ガス浄化装置に活用される。

3割は、宝飾品として使われている。

残りの1割の用途は、インフレ対策などが目的で買われる投資需要である。

プラチナの産出国として有名なのが、南アフリカとロシアの2か国が全体の過半数を占めている。

メリット

1. インフレ対策に有効的

世界各国の中央銀行は、経済が激しく落ち込む度に、その救済策として量的金融緩和という金融政策を打ち出してきた。

そして、2020年のコロナショックによる経済的損失をカバーする為、どこの国も歴史上最大規模の量的緩和を行っている。

量的緩和の詳しい解説は、下記のサイトに書いてあるので、そちらを参照してもらいたい。

 

長期的には物価上昇トレンドが継続すると思われ、そうなれば生活は当然苦しくなる事が予想される。

 

使わないお金を銀行口座に貯金しているだけでは、0.001%という僅かな利子しか付かない。

それなのに何故、大切なお金を無意味に預金するのだろうか?

 

物価や税金が高くなる以上、我々も資産を少しでも増やす努力をしなければならない。

インフレ対策として、プラチナは有力候補に挙げられる。

 

下記は、プラチナ価格の長期チャートである。


2008年には、なんと$2300という史上最高値を記録している。この時の価格は、あのGoldを大幅に上回っている。

しかし残念ながら、現在はリーマンショック以降は多少の反発はあるものの、下落傾向にある。


プラチナを必要とするディーゼル車販売台数が世界的に見ても減少傾向にある為、プラチナ買い需要が年々低下しているとの見方もある。

そこで注目すべきなのが、近年のSDGsへの取り組みだ。

環境問題に取り組むべく、欧州各国はFCV(燃料電池車)などの環境に配慮された新自動車の切り替えに力を入れている。

このFCVは、開発工程でプラチナを大量に使用する為に、今後プラチナの買い需要は再び回復していくのではないだろうか?

 

インフレの話に戻そう。

プラチナはGold、Silverと同様、世界基軸通貨である米ドル建で価格が表記されており、米ドルとプラチナの取引が最も活発である。

量的緩和が続く限り、米ドルの価値棄損を危惧した投資家が、資金の一部をプラチナに回す動きも想定され、プラチナ価格は歴史上最高値を突破する可能性も十分にあり得ると思う。

 

この予測が正しいのであれば、インフレ対策の一環として日頃からプラチナを買っておけば、価格が大きく上昇していく事で自分の資産の増加も期待できるだろう。

2. 希少価値が最も高い

冒頭でも話した通り、プラチナはGoldよりも希少性が高いと言われている。

現在世界に存在している採掘済みのプラチナは約5100トンであり、これはGoldの30分の1に相当する。

まだ採掘されていない地中に埋まっている量は、残り2万トンも無いようだ。

その為、希少価値の観点だけで考えると、貴金属投資をするならプラチナが最も有望な銘柄だと言えるだろう。

 

自動車産業や工業などで、プラチナの需要が強く伸びていければ、価格自体も大幅上昇が期待される。


世界人口がいずれ100億人を超えると推測される今、貴重な資源であるプラチナは投資する価値は十分にあると思う。

このようにプラチナは希少性が高まる可能性があり、それを知っている投資家による買い占めが行われることで、今後もより価値が高まっていくと考えられる。

3. 世界共通の価値

プラチナの価値は、日本国内のみならず世界共通と言える。

日本円は日本でしか使えず、米ドルは基本的には米国でしか使えない。(一部例外あり)

その国が発行する通貨の価値とは、その国の経済力や財政状況に大きく依存してしまう。

 

日本政府の借金が膨大になり、仮に財政破綻した場合はどうなるだろうか?

日本でしか使えない日本紙幣は、文字通りただの紙屑となり、その紙は海外に持って行っても決済に使えない。

つまり、どれだけ沢山のお金を稼いだとしても、そのお金を全て日本円で保有しているなら、ある意味リスクが高いと言えるだろう。


しかしプラチナに関しては世界中の人間、誰もが価値があると妄信している。

その為、日本紙幣が紙屑になったとしても、プラチナを保有さえしていれば海外に行った際、プラチナを売却し現地通貨を受け取る事ができるだろう。

少なくとも、一文無しにはならずに済むという訳だ。

デメリット

1. 利息や配当は一切なし

当たり前だが、プラチナは株式や債券と違って配当や利子も付かないので、資産の増加スピードはそこまで早くない。

これが、プラチナが敬遠される一番の理由ではないだろうか?

昨今は、どこの国も超低金利が続いており、銀行預金の金利も低く、預けていても利式がほとんど付かない状況である。

このように低金利な状況が続けば、プラチナ価格は伸びやすいと言えるが、仮に今後預金金利が大きく上昇するような事になれば、金利を欲しがる投資家は、利子の付かないプラチナを売却し預金をしたり、債権を買う流れが出てくる事も想定される。

その為、政策金利の変動には注目していく必要があるだろう。

2. 景気が悪いと下がりやすい

一般的にプラチナ価格は景気が良い時に上がりやすく、景気が悪くなると価格が下がる傾向がある。

プラチナの主な用途が、自動車産業や工業の材料として活用されているからだ。

経済状況が良く、企業が自動車を大量に製造する際は、プラチナの需要も連動するかたちで伸びるので価格も上昇しやすい。

逆に、経済状況が悪くなると自動車製造におけるプラチナ需要が激減してしまう為、価格もつられて下落しやすい。

 

実際に、2020年3月のコロナショック時のプラチナ価格を見てみよう。


コロナショック発生時は、世界各国で緊急事態宣言やロックダウンが行われ、経済活動が一時的にストップしていた。

それと同時に、プラチナ価格も大きく値を下げ、直近最安値を割り込む格好となった。

これらの観点からプラチナ価格を予測する上では、経済状況について詳しく理解しておく必要があるだろう。

3. 本当にプラチナの需要は高まるのか?

現在、世界的にSDGsへの取り組みが活発的になり、脱炭素運動が目立つようになった。

その取り組みの一環として、二酸化炭素を大量に排出するガソリン車を全面的に廃止し、CO2を排出しないクリーンな自動車へと移行する動きが確認される。

日本でも2035年までには、ディーゼル車・ガソリン車の販売禁止法案を既に発表しており、今後もこの動きには注視しておきたい。

ガソリン車が廃止される代わりに、今後はFCV(燃料電池車)と呼ばれる温室効果ガスを一切排出しない水素を利用する自動車の普及が期待されている。

プラチナは、FCVの燃料電池の電極触媒として活用されており、ディーゼル車の排ガス触媒に使用されるプラチナの量の10倍以上が必要と言われている。

その為、もし世界的にFCVの普及が順調に進んだ場合は、プラチナの需要は爆発的に高まり価格も暴騰することが期待される。

その一方で、現在のFCV普及状況は芳しくない。プラチナの埋蔵量自体が少ない上に、産出量もそれほど多くはない。

そんな中で、大量のFCVを製造する事になれば、プラチナ価格が上昇することで、FCVの製造コスト・販売代金も想定以上に高くなってしまう懸念もある。

地球環境保護は確かに大事だが、コロナショックを経て経済的に余裕がない家庭が増えた今、自動車価格がかなり高くなっていては、売り上げ自体もそこまで伸びないのではないだろうか?

それに、FCVに水素を補給する、水素ステーションの設置コストも馬鹿にならないし、設置数が全然足りない。

これらの観点からも、FCVが本当に普及していく確証は今のところ乏しく、代わりにプラチナをほとんど使わないEV(電気自動車)が普及していく可能性が高いと言える。

とはいえ、まだこれからどうなるかは分からないので、引き続き自動車関連の話題には注目しておいて動向を追っておきたい。

4. 為替差損のリスク

国内のプラチナ現物価格は、国際価格に連動するようになっている。

その国際価格は、米ドル建で表記されるの一般的の為、国内金価格も米ドル円の為替相場に影響される。

結論から言うと、ドル安になればなるほど、円換算した資産評価額が落ちる事になるし、ドル高になれば資産評価額は上がる。

プラチナ価格そのものが上昇したとしても、ドル安が想定上に進行した場合、為替差損によりリターンはあまり伸びない可能性も考えられる。

 

米ドル円の価格推移を見ておこう。

短期的には上昇しているものの、長期的に見ると米ドルは下落トレンドが続いているようにも見える。

左とチャートパターンが似ているが、同じような値動きをすると仮定した場合、85円近くまで続落する可能性もある。

このように、長期にわたってドル安相場が続いていくなら、プラチナ投資のリターンも円換算してみると、それほど利益が伸びない懸念もある事に注意すべきだ。

hiroの見解

今回は、プラチナ投資のメリット・デメリットについて解説してきた。

私自身、貴金属の銘柄には日頃から注視しているが、中でもプラチナは特に割安圏内に入ってきていると感じているので、積極的に買い増している。

プラチナの現在価格は、最高値から大きく下回ったポイントをウロウロしている状況。

Gold(左側)と プラチナ(右側)のチャートを見比べてみよう。

相変わらずGoldの上昇っぷりには頭が上がらないが、プラチナのほうは上昇の余地が残っているとも言えるだろう。

私自身、30万円以上のプラチナを既に保有しており、今後も少しずつ買い増ししていく戦略を立てている。

GoldとSilver同様、一度買ったプラチナは、基本的に売却する予定はなく、ずっと持ち続けるつもりだ。

皆さんも、将来の危機に備える為、プラチナ投資の検討をしてみてはいかがだろうか?

まとめ

  • インフレ対策に有効的
  • 希少性が貴金属の中で最も高い
  • 世界共通の価値
  • 利息や配当は付かない
  • プラチナの需要はFCVの普及に左右されやすい
  • 為替の影響が懸念点

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