配当金について

株式投資の魅力部分は、やはり配当金が受け取れる事だろう。

昨今の低金利政策による影響で、銀行の預金金利はほぼ0%だが、配当利回りは3%近くあり、中には7%を超えている銘柄も存在している。

将来セミリタイアを目指している会社員にとっては、このような配当金での生活は非常に魅力を感じるものだ。

そこで今回の記事では、配当金に関する詳しい解説をしておこうと思う。

配当性向とは?

配当金とは、企業が稼いだ利益の一部を、株主に還元するお金である。

当たり前だが、企業は稼いだ利益の全てを配当に回す訳ではなく、さらなる事業拡大への設備投資に充てたり、不景気に備えて貯金(内部留保)として蓄えておく事もある。

日本企業の内部留保(貯金)は年々増加傾向にあり、政府としては経済活性化の為にも、このお金を使わせようと必死に努力しているが、なかなか思い通りに使われない。

企業によって、利益の内から配当に回す割合は大きく異なる。

金払いの良い企業なら配当金を沢山出してくれる一方、ケチ臭い企業は儲かっていても配当金を増やさない。

その為、投資先の企業が投資家の事をしっかりと考えて、配当金を増配する姿勢があるかを確かめておく必要がある。

それを容易に判断できる指標がある。配当性向と呼ばれる指標だ。

配当性向とは、企業が稼いだ利益の内の何%を、投資家に配当金として還元しているかを示す指標である。

安定して利益を出している大企業の配当性向は、平均20%前後

ベンチャー企業など発展途上の中小企業は、まず事業規模拡大を全力で推し進める為に、利益のほとんどを事業投資に費やす為、配当性向がかなり低かったり、0%である事も珍しくはない。

配当は無くても、事業拡大により利益が増えれば、それが投資家から評価され株価そのものが上昇していくだろう。

そして、利益が安定的に出せるようになれば、いずれは配当金が多めに支払われるようになるだろう。

この観点からも、配当性向が低いからと言っても、その会社が投資対象として魅力がない訳ではない事に注意を。

配当利回りとは?

配当利回りとは、株価に対して、1株当たりの配当金の多さを判断する指標である。

 (配当金 ÷ 株価) ✕ 100% = 配当利回り(%)

例: 株価1000円、配当金20円の場合

 (20円 ÷ 1000円) ✕ 100% = 2%

上記の例の場合だと、配当利回りは2%と表記されるが、株価が変動するたびに、配当利回りも変動している。

企業が支払う配当金は、利益が想定以上に増えた場合に多少上がるものだが、基本的に配当金はそんなに変化なしと覚えておこう。

その一方で、量的緩和の影響による金余りで、とにかく株が買われるバブル相場が続いていくと、株価も爆上げしていく事になる。

仮に、 株価3000円にまで上昇、配当金は20円のまま変わらないとする。

 (20円 ÷ 3000円) ✕ 100% = 0.66%

利益が増えた訳ではなく、ただ株が一方的に買われただけなので、配当金が変わらず株価が爆上げすると、配当利回りは急落していく。

勘のよい読者はもう気づいただろうが、株価の上昇には本質的に限界があるようにも見える。

これまで低金利で国債を買っていても儲からないから、国債を売却し、高い配当利回りに魅力を感じて株に投資をする動きが活発だった。

しかし、実体経済とかけ離れたバブル相場が到来したことで、現在の株式相場はどれも割高となり、配当利回りも低水準となってしまった。

日本国債の利回りは0.05%だが、株の配当利回りも0.1%を下回るようであれば、もはや株式に投資するインセンティブは無くってしまう。

このことからも、一見無限に上昇しそうに見える株式相場も、いずれ限界にぶち当たる可能性は高いと言える。

今は配当利回りが低くてガッカリしてるかもしれないが、株価が大暴落した時には、配当利回りが大幅に上昇して買い時となるバーゲンセール相場が訪れるかもしれない。

その時に備えて、今は現金余力を高めておこう。

配当金を受け取る条件

  • 権利確定日:配当を受け取る権利が得られる日
  • 権利付最終日:権利確定日の2営業日前
  • 権利落ち日:権利付最終日の翌営業日

配当金を受け取るには、その企業が決定した権利確定日の2営業日前までに株式を保有しておく必要がある。

注意点は、権利確定日の2日前ではなく、営業日のみをカウントした2日前である事だ。

例えば、火曜日に権利確定日の場合は、2日前の日曜日ではなく、2営業日前の金曜日までに株を保有しておかないといけない。

配当金の受け取り方

配当金の受け取り方は複数あり、その選択によっては非常に面倒な事になるので気を付けておきたい。

  • 証券口座でのお受取り(株式数比例配分方式)
  • 郵便局等でのお受取り(配当金領収証方式)
  • 銀行口座等でのお受取り(登録配当金受領口座方式)

配当金にも税金がかかるが、証券口座でのお受取り(株式数比例配分方式)を選ぶ事で、株式の配当金を証券口座で受け取る事ができ、NISA口座で株式を保有されている場合、配当金を非課税で受け取れる。

その為、証券口座でのお受取り(株式数比例配分方式)を選択するようにしよう。それ以外を選ぶと、手続きがかなり面倒になったりNISA口座を使っていても配当金に税金がかかるので注意しよう。

配当金が減るリスク

高配当を狙って投資したのに、ある日突然、配当金が大幅に減額されてしまった・・・なんて事はよくある話。

企業が配当金を出さないといけないルールは存在せず、会社の業績が悪くなれば利益も下がるので、支払える配当金も必然的に目減りしてしまう可能性がある事は認識しておこう。

配当金が減るだけなら、まだマシなほうで、最悪の場合は配当金が0になる事もある。

未来永劫、安定的に稼ぎ続けられる保証など無いので、長期投資をする場合は、定期的に投資先企業の業績をチェックしておく必要がある。

まとめ

  • 配当金とは、企業が稼いだ利益の一部を、株主に還元するお金である
  • 配当性向とは、企業が稼いだ利益の内の何%を、投資家に配当金として還元しているかを示す指標である。
  • 安定して利益を出している大企業の配当性向は、平均20%前後
  • 配当性向が低いからと言っても、その会社が投資対象として魅力がない訳ではない
  • 配当利回りとは、株価に対して、1株当たりの配当金の多さを判断する指標
  • 配当金を受け取るには、その企業が決定した権利確定日の2営業日前までに株式を保有しておく必要がある
  • 株式数比例配分方式を選択する事で、NISA口座を利用している場合は、配当金も非課税扱いとなる
  • 会社の業績低迷によっては、配当金が0になるリスクもある

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