株式投資をする際、どんな株を買えばいいか分からないし、いつが買い時なのかも判断できずに悩むことがあるだろう。
いつが買い時かという質問に、明確な答えなど存在せず、誰も分からないが正解と言ったところか。
それでも、投資判断に活用できる指標がいくつかあるので、まずは指標の見方を覚えておこう。
投資は安く買い、高く売るのが鉄則だ。どうせ買うなら、割安水準まで価格が下落してきた時に買いたいものだ。
この記事では、株式投資をする際に、割安株を見極めるノウハウを紹介していく。
ROEとは?
ROE(Return on Equity)とは自己資本利益率のことで、自己資本(純資産)に対する当期純利益の割合を示す指標。
ROEは要約すると、投資家から集めた資金を使って、どれくらい効率的に利益を出しているかを判断できる。
例えば、A社とB社はどちらも10億円の資金を投資家から集めたとする。
A社の利益が1億円だった場合は、 (1億円 ÷ 10億円) ✕ 100 = 10%(ROE)
B社の利益が2億円だった場合は、 (2億円 ÷ 10億円) ✕ 100 = 20%(ROE)
同じ資金を集めていても、B社のほうがより利益を出してくれるので、投資家としてはB社に投資したほうが良い事が分かる。
このように、ROEは会社の稼ぐ能力を容易に把握できる便利な指標なので、投資する前にはチェックしておこう。
ちなみに、日本の上場企業の平均ROEは10%であり、米国の上場企業の平均ROEは20%である。
この平均値ROEを参考にしながら、自分が注目している企業の収益力を評価してみよう。
ROAとは?
ROA(Return on Assets)とは総資産利益率のことで、総資産に対する当期純利益の割合を示す指標。
先程説明したROEは、株主から集めた投資資金のみを使って計算された指標だが、ROAは株主からの資金に加えて銀行からの借り入れや会社の貯蓄などの総合資産を使って計算される。
日本の上場企業の平均ROAは4%であり、米国の上場企業の平均ROAは6%である。
ROEと合わせて、ROAにも注目してみると良いだろう。
BPSとは?
BPS(Book-value Per Share)は1株当たりの純資産がどれほどあるかを金額で示す指標。
株式会社は国と違って、財務状況が悪化し続ければ倒産するリスクがあり、投資家は買った株券が無価値になるリスクを常に抱えている。
しかし、会社が倒産する際は、その時点で会社が保有する純資産を切り崩して少しでも投資家に返金するのが一般的である。
とはいえ、経営資金が枯渇したから倒産するわけで、実際に投資家に返金される可能性は低いと思ったほうがいいだろう。
要約すると、BPSは会社倒産時に株主に返金される1株当たりの金額である。
株価が1000円で、BPSが500円の株を買った後に倒産したら、500円くらいは戻ってくるかもしれない。
このことから、BPSの金額が高い企業ほど、財務状況が安定していると判断できるだろう。
PBRとは?
PBR(Price Book-value Ratio)とは株価純資産倍率のことで、BPSに対して株価が割安かどうかを判断する指標。
PBRは1倍を基準とし、1倍より高ければ割高、1倍より低ければ割安と判断する。
例えば、株価が1000円でBPSが500円だった場合、1000円(株価) ÷ 500円(BPS) = 2倍(PBR)
純資産500円しか持っていない会社の株を、1000円という2倍の金額を出して買っているので、それは割高と判断すべきだ。
その為、PBRが1倍以下の会社の株を狙いたいところだが、最近はどの株価もバブル的上昇を続けているので、もうPBRが1倍以下の株は多くないのが現状だ。
EPSとは?
EPS(Earnings Per Share)とは1株当たりの利益のことで、利益の多さを判断する指標。
5000万円(当期純利益) ÷ 10万株(総発行株式数) = 500円(EPS)
上記の例で言えば、1株あたり500円の利益を出している会社という判断になる。
この会社が、資金調達をする為に追加で5万株を発行したとする。その後のEPSは、下記の通り。
5000万円(当期純利益) ÷ 15万株(総発行株式数) = 333円(EPS)
EPSは配当金の事ではないが、EPSと呼ばれる利益の内から投資家に還元していくので、EPSが高いほうが魅力的に思われる。
その為、事業拡大という名目で資金調達をする為に増資(株を発行する事)を何度も行うと、必然的にEPSは下がる傾向があるので、投資家からは敬遠されてしまう。
もちろん、増資によって集めた資金を使い、さらなる利益増額が見込めるのであれば良いのだが、そんなに上手く稼げる保証もない。
PERとは?
PER(Price Earnings Ratio)とは株価収益率のことで、株価がEPSに対して割安かどうかを判断する指標。
基本的に、同じセクター(業種)で競合他社との比較をする際に用いられる指標である。
例えば、自動車を製造しているA社とB社があると仮定し、どちらの株のほうが割安かを見極めたい場合、
A社: 1000円(株価) ÷ 500円(EPS) = 2倍(PER)
B社: 500円(株価) ÷ 100円(EPS) = 5倍(PER)
上記の例で考えれば、株価そのものはB社のほうが安いので、B社のほうが買い時のように感じてしまう。
しかし、EPSで割った結果、A社のほうがPERが安いので割安と判断できる。
PERの倍率が低いほうが、より割安だと覚えておこう。ただ、最近の株はどれもPERが数十倍と非常に割高である。
hiroの見解
今回は、株価が割安かどうかを、様々な指標を用いて判断する方法について解説してきた。
ここで紹介した指標は非常に有名であり、世界中の投資家が注目しているので、投資をする前に必ずチェックするようにしよう。
ただし、これらの指標はあくまで参考材料の一つに留めておくべきで、指標が割安を示していても絶対に正しいという保証はない。
投資で大事な考え方として、複合分析を取り入れること。何か一つだけの根拠を妄信するのではなく、複数の根拠と分析結果を組み合わせて総合的に判断していく能力が必要である。
この記事で紹介した、指標を用いて分析する手法は、ファンダメンタルズ分析と呼ばれるもの。
それとは別に、将来の値動きをチャートから読み取り予測する手法を、テクニカル分析と呼ぶ。
テクニカル分析に関しては、別の記事で既に解説しているので、そちらも参考にして分析力を高めてもらいたい。
まとめ
- ROEとは、投資家から集めた資金で、効率的に利益を出しているかを判断する指標
- ROAとは、総資産で効率的に利益をだしているかを判断する指標
- BPSとは、会社倒産時に株主に返金される1株当たりの金額
- PBRとは、BPSに対して株価が割安かどうかを判断する指標
- EPSとは、1株当たりの利益の多さを判断する指標
- PERとは、株価がEPSに対して割安かどうかを判断する指標
- 投資判断において、一つの根拠よりも、複数の根拠を持ち総合的に判断するスキルが重要