フィボナッチ・リトレースメント

相場分析には欠かせない手法、フィボナッチ・リトレースメントを知っているだろうか?

 

これは、上昇トレンド・下降トレンドにおいて、どのタイミングで反落・反発しやすいかを予測する上で、非常に役に立つツールだ。

プロの投資家も、フィボナッチ・リトレースメントを用いて分析する人は多いと聞く。

ぜひ皆さんも、フィボナッチの基礎的な知識と使い方を学んで、分析精度を高めていこう。

 

この記事では、フィボナッチ・リトレースメントの概要について解説していく。

フィボナッチとは?

1200年頃に活躍した数学者、レオナルド・フィボナッチ氏がフィボナッチを考案した。

 

有名なフィボナッチ数列がこちら。「  1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144… 

この数列には、以下の法則性がある。

  1. 連続する2つの数字の合計が、次の数字に一致する
  2. 任意の数字を1つ後の数字で割ると、0.618になる
  3. 任意の数字を2つ後の数字で割ると、0.382になる
  4. 任意の数字の3つ後の数字で割ると、0.236になる

ここで出てくる、0.618と0.382と0.236の倍率のことを、フィボナッチ比率と呼ぶ。

 

フィボナッチ数列は、自然界や人工的建造物にも確認されているようだ。

一般的に、フィボナッチ数列は、人間が見て美しいと感じるとされている。

それが何故なのかはよく分からないが、人間の心理的にフィボナッチは心地よいと感じるらしい。

 

不思議だ。やはり、何かの法則性のもとに宇宙は創造され、そこにいる我々人間も、無意識のレベルでその法則性の影響を受けているのだろうか?

考えたところで全く分からないので、フィボナッチは美しいものだと覚えておけばいいだろう。

フィボナッチ・リトレースメントとは?

とにかく、フィボナッチは何となく凄いものだと分かった。

 

ここからが本題なのだが、このフィボナッチは投資の世界にも活用できる可能性がある。

なぜなら相場とは、世界中の人間達の様々な思惑が働く事で変動するものだ。

自然界の一部である人間が作り上げる相場に対しても、自然界の不思議な法則であるフィボナッチは適用されるのではないかと考えた。

 

そこで、そのフィボナッチを投資の分析手法に応用したツールが開発されたのだ!

フィボナッチ比率を用いた分析ツールは、以下のように沢山ある。

  • フィボナッチ・リトレースメント
  • フィボナッチ・エクステンション
  • フィボナッチ・ファン
  • フィボナッチ・タイムゾーン
  • フィボナッチ・タイムエクステンション
  • フィボナッチ・サークル
  • フィボナッチ・スパイラル
  • フィボナッチ・アーク
  • フィボナッチ・ウェッジ


この中でも特に有名なのが、フィボナッチ・リトレースメントだ。

リトレースメントとは、「引き返す」という意味。

 

相場は一方向に進み続ける事は稀で、上昇時には反落(戻り目)を作りながら、下落時には反発(押し目)を挟みながら進んでいくもの。

 

フィボナッチ・リトレースメントは、そのような戻り目・押し目をあらかじめ把握する為に用いるツールである。

遅行指標系インジケーターと違って、フィボナッチツールは先行指標系に分類される為、価格(ローソク足)が確定する前に、価格の動向を予測できるので、今後の取引戦略を立てる際には重宝する。

フィボナッチ・リトレースメントの使い方

Trading viewで、実際にフィボナッチ・リトレースメントを活用する方法を解説する。

これまでのエリオット波動論の解説記事で、紹介した方法と基本的には同じである。

1. フィボナッチ・リトレースメントを選択

赤枠で囲った、フィボナッチ・リトレースメントと書かれたツールボタンをクリックする。

 

2. 直近安値・直近高値を特定し、ラインを引く

任意の直近安値と直近高値を見つけ、フィボナッチ・リトレースメントを引く。

ラインを引く時は、以下に注意して引こう。

  • 上昇トレンド相場では、安値から高値に引く(下から上に引く)
  • 下落トレンド相場では、高値から安値に引く(上から下に引く)


実際に、上昇トレンド相場で、フィボナッチ・リトレースメントを引いた画像がこちら。

上図を見て分かる通り、安値から高値にかけて引いたフィボナッチ・リトレースメントのFib61.8%付近でサポートされて上昇反発しているのが分かる。

3. 設定を変更し、見やすくする

デフォルトのままだと、チャートが見にくいので、設定を少し変更してみよう。

私個人的に見やすい設定を紹介しているだけなので、あくまで参考までに。

下記の画像通りに、設定を変更してみよう。

トレンドラインのチェックは外していいだろう。


同色を自分の好きな色に固定する。私は水色を好んで使っている。

背景は見にくくなってしまうので、消した方がいい。

価格の表示は、別にどちらでもいいかな。

ラベルは右側で、中央に表示させている。

 

一通り設定が完了したら、下記の図のようになるだろう。

どうだろうか? デフォルトよりもだいぶ見やすくなったと思うが。

 

テクニカル分析手法をたくさん学ぶにつれて、チャートに描くラインの数は増えていくだろう。

しかし、たくさん引きすぎると、逆に理解しづらくなってしまう。

その為、後で見返しても理解しやすいように、チャートに描くことを心掛けていこう。

基礎知識

よく、実体とヒゲのどちらに引けばいいかと議論されているが、基本的にヒゲでいいだろう。

 

当然だが、短期時間足よりも長期時間足のほうがよく機能しやすい。

エリオット波動論と組み合わせて活用するのがお勧めだが、基本的には以下の見方をする。

 

大陽線・大陰線を伴う勢いが強い相場では、23.6%がサポート・レジスタンスとして意識されやすい。

半分という概念は、よく人間が意識するものだろう。その為、50%はトレンド転換ポイントとして意識されやすい。

フィボナッチ比率で最も重要なのが 61.8%であり、通常のトレンド相場ではこの付近で調整が終わる。

実体ベースで78.6%を明確に超えてきた場合は、トレンドが反転したと判断すべきか、もしくはラインの引くポイントが間違っている可能性などを疑おう。

hiroの見解

今回は、フィボナッチ・リトレースメントの解説をしてきた。


私自身、フィボナッチ・リトレースメントをテクニカル分析手法の基軸として採用しているので、頻繁に活用している。


また、非常に有名なツールでもあるので、世界中の投資家が分析に活用して取引されている。

皆が使うという事は、それだけフィボナッチ・リトレースメントのラインが意識されやすいということなので、大衆目線と一致させるうえでも非常に役に立つだろう。

 

ぜひ、使い方を何度も練習して、自分の分析手法に取り入れてみてほしい。

まとめ

  • フィボナッチ比率は、人間が心理的に美しいと感じる
  • 自然界で生きる人間が作り出す相場にも、フィボナッチは機能するかも?
  • フィボナッチを活用した分析ツールで、特に有名なのが、リトレースメント
  • 任意に選んだ、直近安値と直近高値に合わせて、ラインを引く

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