NEM(XEM)の解説

  • 2020年11月9日
  • 2020年11月13日
  • 銘柄

NEMという暗号資産を知っているだろうか?

日本ではNEM(XEM)の取り扱いがある取引所は少ないので、聞いた事がない人もいるだろう。

しかし、NEMは意外と日本人から人気が高いのだ。

初心者の頃の私は、ネット上でNEMの魅力について書かれた情報を見て、惹かれていた。

そしてXEMの将来性に期待して、2万枚以上を買ったこともあった。  『前までは・・・』

ただ最近は、XEMの悪いニュースを度々耳にする。

本当にXEMに投資をした方が良いのだろうか?

この記事では、NEMの仕組みや将来性をざっくりと解説。

基本情報

  • 作成日:2015年
  • 開発者:utopianfuture
  • 通貨単位:XEM
  • 中央管理者:なし
  • 総発行枚数:89億9999万9999枚
  • コンセンサスアルゴリズム:PoI
  • 時価総額:約590億円(2019年8月時点)
  • 時価総額順位:22位
  • 上場取引所:coincheck

開発目的

  • 新しい経済圏を創出すること
  • 資産が平等に分散され、富が一部の富裕層に偏らせないこと

仕組み

NEM(New Economy Movement)は、ブロックチェーンを使い、新しい経済運動を起こすことを目的としたプロジェクトを指す。

XEMは、そのプロジェクトで利用される通貨を指す。

NEMとXEMはそれぞれ別の意味を指すので、覚えておきましょう。

1 .  ハーベスト(収穫)

XEMは既に全て発行済みであり、これ以上新規発行される事はない。

『89億枚は、多過ぎる。こんなに発行して価格があるのだろうか?』

NEMブロックチェーン上で取引された内容を、誰かがその正当性を確認し承認する必要がある。

これは、ビットコインやイーサリアムでも同じだ。『中央管理者が存在しないので、皆でお互いを監視する。』

その面倒な承認作業をする代わりに、一定枚数のBTCやETHを自動的に新規発行し、承認作業者に報酬として支払っている。

これが、いわゆるマイニングである。

しかし、XEMの場合はどうだろうか?

XEMはもう全てが発行済みで、新規発行されない。では、どうやって承認作業者に報酬を支払っているのか?

その答えが、ハーベスト(収穫)と呼ばれる仕組みだ。

XEMを用いた取引を行うと、必ず手数料が徴収される。

取引をした人達、全員から徴収した手数料を、承認作業に参加してくれた人全員に、その貢献度に応じて分配して報酬を支払う。

この点においても、頑張って貢献すれば、誰でも大金の報酬を受け取れるチャンスが平等にあるという訳だ。

『ただ、ハーベストはそんなに簡単じゃないんだが・・・』

ハーベストと似たようなもので、スーパーノードと呼ばれるものがある。

スーパーノード:過去の取引履歴を全て記録しているノード(サーバー)

こちらも、取引の承認や記録を行ったり、NEMブロックチェーンを維持する上でかなり重要な存在。

<スーパーノードと認められる条件>

  • 300万XEM以上を保有  (約2000万円以上)
  • 高性能なサーバー
  • 24時間稼働
  • 高速なインターネット回線
  • 強固なセキュリティ

1日に4回あるチェックに合格したスーパーノードで報酬を分配していく。

NEMブロックチェーンの運用者側とも言える立場となり、責任も重くなると言える。

その代わり、スーパーノード運用者には毎月数十万円の報酬が受け取れる。

『特に自分は何もせずとも、不労所得が手に入るのは魅力的だ。』

『まぁ、お金持ちの人しか出来ないので、私には無縁ですが・・・』

2 .  PoI

コンセンサスアルゴリズムでは、PoIが採用されている。

これは、先ほど解説したハーベストに関するもので、貢献度の計算を決定する為のアルゴリズム。

アカウントにはインポータンス(重要性)というPoIスコアが全員に付けられている。

保有しているXEMの残高だけでなく、PoIスコアが高いほどハーベストに成功して報酬が得られる確立が高くなる仕組み。

PoIスコアを上げるには、以下を実行する。

  • 1回に1000XEM以上の送金
  • 10,000XEM以上保有のユーザからの入金・30日以内の取引

『なんか2つ目、難しくない?』

なお仲間同士で、同じ送金アドレス宛に何度も取引をしても、反映されないように設計されているため不正やズルが出来ない。

『そんな都合良く、1万XEM持っている人と頻繁に取引出来るか?』

『まぁ、保有している人は結構いるとは思うけど。う~ん・・・』

要するに、正しい方法で、なるべく多くの取引をする事が求められています。

3 .  アポスティーユ

ブロックチェーン技術を利用した、公証が可能なサービスの事。

公証:行政上、特定の事実または法律関係の存在をおおやけに証明すること

土地や車の所有権、著作権、不動産、特許、契約書などのデータの記録などが可能となる。

通常の公証では、書面に記載された署名・日時により第三者機関が正当性を証明する。

ブロックチェーンに記録された内容は改ざんが不可能なので、第三者の介入無しに公証を作成できる。

これは、ブロックチェーン技術の信頼性の高さが認められている証拠である。

『政府や大企業も不正疑惑が報じられる世の中、この技術のニーズは高まるだろう。』

このサービスは、Nano Walletのアカウントがあれば誰でも利用可能。(手数料を数円支払う必要あり)

4. カタパルト

カタパルトとは、NEMブロックチェーンの大幅なアップグレードの事。

(2019年8月時点では、まだ実装されていない。)

カタパルトが実装されると毎秒 約4,000件のトランザクション(データ)処理が可能となる。

他の通貨と比較してみよう。

<1秒当たりに処理可能なトランザクション(データ)件数>

  • ビットコイン    約3件
  • イーサリアム    約15件
  • リップル      約1500件
  • ネム(カタパルト実装) 約4000件

送金専門通貨リップルの2倍以上の処理能力を誇る。

『もはやクレジットカードに並ぶレベルだ。(笑)』

これほどの処理能力が実現されたら、様々な決済手段として利用されるかもしれない。

メリット

1 .  公平性が重視されている

これは、NEMプロジェクト自体の開発構想の一つだが、一部の富裕層に富が偏らないように、報酬を受け取れるチャンスが皆平等に与えられている。

これは、とても素晴らしい事だと思う。

資本主義社会では、その性質上、お金持ちの人はより一層お金持ちになりやすい構造だ。

貧富の格差につながるこの問題を、NEMプロジェクトによって改善しようとする取り組みは、もっと評価されるべきだと思う。

2 .  安全性が高い

ネムのハーベストでは、ハーベストに参加するマシンの動作も監視している。

EigenTrust++と言うアルゴリズムを採用しており、過去にサイバー攻撃に使用したマシンの参加を拒否する事が可能となる

危険なマシンを徹底的に排除する事で、サイバー攻撃を受けるリスクを低減できる。

なお、ビットコインには、このような仕組みがない。

ハッキング被害が相次ぐ現状では、このようにセキュリティを意識した設計がされている事はとても大切だ。

デメリット

1 .  カタパルトについての懸念

カタパルトにより、NEMは毎秒4000件のトランザクション処理が出来ると言われているものの、実際の処理能力はそこまで高くない。

これはあくまで、プライベートチェーンの場合の数値で、パブリックチェーンのNEMではそれほどの処理数には対応出来ないとされている。

対応するには強力なノード(マシン)が必要になり、ノード運用者の負担が増えると、運用意欲が低下し、ノードの分散化には向いていないと、開発者のジャガー氏は語る。

2 .  報酬の枯渇

ネットワークを維持する役割を持つ人に対して支払う報酬が底をつくと懸念されている。

これは、どういう事なのだろうか?

スーパーノード運用者には、毎月数十万円と高額の報酬を支払っている。

この報酬は、NEM財団のファンド資金から捻出している。

当然、ファンドの資金には限りがある。いつまでも高額報酬を支払い続けるのは厳しい。

計算上では、2020年8月ごろに、スーパーノード報酬が枯渇すると危惧されている。

スーパーノードを運用するのにも結構な費用が掛かるので、報酬が少なくなる又は0になれば、運用するメリットもなくなる。

それまでにNEMネットワークが潤い、スーパーノードを満足させられる対価を用意できるかが運命を握るだろう。

もし完全にスーパーノード報酬が枯渇した場合は、ネットワーク維持が出来なくなり、XEMの価格は大暴落を免れない。

『さて、どうなる? NEM財団は他のファンドから資金を用意すると言ってるが本当なのだろうか。(笑)』

3 .  ライバル多し

NEMと同じような特長を持つ暗号資産は他にも存在している。

その一つが、イーサリアムだ。

イーサリアムは開発力がかなり強力かつ、明確なビジョンを持っている。

NEMの開発目的は曖昧だと指摘する人も多く、NEMならではの魅力が何なのかよく分からない

カタパルトの実装により、処理能力が大幅に向上したとしても、明確な目的がなければ意味がない。

それに、このような優れた最新技術はNEM以外の暗号資産にも実装されていくだろう。

果たして、NEMがどれだけの人に必要とされるのだろうか?

4 .  開発力がとても低い

NEMの開発を担うNEM財団と呼ばれる組織は、あまり開発力が高いとは言えない。

2019年1月頃に、NEM財団の体制を新しく切り替えると発表したが、これによりNEMの開発がどのように進められていくのか不安が増した。

(ちなみに、この発表後に、「NEM財団が崩壊した」と誤った情報が広まったそうだ。)

それまでのNEM財団は、組織体制が正しく機能せず、貴重な資金・時間を無駄にしていたようだ。

ちなみに、カタパルトは2017年頃から「実装されたら凄い事になる」と期待されていた。

しかし2019年8月時点でも、まだ未完成である・・・『遅すぎる。』

ライバルも多く、最新技術を搭載した暗号資産が続々と開発される現状では、厳しいと評価せざるを得ない。

将来性

ここだけの情報を見る限り、明らかに将来性は低いだろう。

希望のカタパルトの実装もまだで、実装されたところで状況が一転するのかどうか・・・

明確なビジョンがないのが、なんとも言えない。

NEMと言えば、これだ!こんな事が出来る! と評価される対象がないし。

処理能力が結構優れた暗号資産」で終わる気がしてならない・・・

hiroの見解

もう私は、NEMに期待はしていない。保有しているXEMは全て売却済み。

これはあくまで私が感じた感想に過ぎないので、何かがキッカケで価格が上昇する可能性はまだある。

ただ、NEMについて過大評価し過ぎているサイトも多く見受けらる。

客観的に事実を正しく見極めていく事が大切だ。

将来1000円まで値上がりするなどという根拠無き言葉を信じて、購入しては絶対ダメだ。

投資の世界では、信じた人が退場していく。

もちろん、私もNEMの全てを詳しく知っている訳ではない。

ですので私の意見は、あくまで参考程度に。

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