ジーキャッシュ(ZEC)という匿名通貨を知っているだろうか?
ビットコインよりも、さらに匿名性を高めており、プライバシー保護に力を入れている通貨だ。
正直、私はそこまで秘密にしてほしいという願望はないので、あまり注目していなかった。
しかし、情報流出事件が多いこの世の中では、匿名性が高い通貨の需要はかなり高いようだ。
この記事では、ZECの仕組みや将来性についてザックリと解説。
基本情報
- 作成日:2016年
- 開発者:Zooko Wilcox
- 通貨単位:ZEC
- 中央管理者:なし
- 総発行枚数:2100万枚
- コンセンサスアルゴリズム:PoW
- 時価総額:約443億円(2019年8月時点)
- 時価総額順位:27位
- 上場取引所:Binance、Poloniex、Bittrex、bithumb、CROSS exchange
開発目的
- 高い匿名性を維持し、プライバシーを保護する
仕組み
1 . ゼロ知識証明
ゼロ知識証明とは、この取引は安全ですという本人以外の情報を必要とせずに取引を成立させる仕組み。
ビットコインの取引では、複数人の承認により取引の安全性が確認され、承認されるという流れになっている。
しかしそこには、安全性の担保の代わりに、第3者にも取引を知られる欠点がある。
ZECでは、本人のみの情報で送金・取引が可能なので、完全非公開状態で取引が完了する。
ZECが世界で初めて、ゼロ知識証明を採用した。
ゼロ知識証明を使用することで、取引する通貨の送金手数料を非公開で決済可能なため、ウォレットアドレス上の残高や取引の追跡が不可能になる。
以下の情報全てが匿名化されており、完全に非公開で取引可能な強みを持っている。
- 送金元アドレス
- 送金先アドレス
- 送金数量(金額)
- 取引履歴
このようにトランザクション状態が非公開で、閲覧キーを持った人のみ、情報を見ることが可能だ。
ZECには、2種類のアドレスが選択可能となっている。
- 「f」で始まるトランザクションアドレス (fransparent address) 公開
- 「z」で始まるシールドアドレス (shielded address) 非公開
自由にアドレスを公開、非公開を状況に合わせて使分けることが出来る。
2 . エクイハッシュ(Equihash)
エクイハッシュというマイニングアルゴリズムを採用している。
これはASICマイニングが不可能で、中央集権を防ぐ仕組みとなっている。
メリット
1 . 企業との提携
2017年5月、JPモルガンとの提携をしたことで、一時期は27000円以上の価格上昇に成功している。
ZECとイーサリアムの統合プロジェクト、ZOEプロジェクト(Zcash on Ethereum)が発表された。
JPモルガンのブロックチェーンQuorum上で、ZECの匿名技術を採用した。
企業同士が暗号資産を用いて取引の決済を行う場合、どこの会社からどれくらいの金額が送金されたかなどの情報を競合他社に知られる恐れがある。
競合他社に自社の動きを感づかれる事を嫌う為、ZECの匿名技術を魅力的に感じる企業は多いようだ。
今後も大企業との提携が行われると、ZECの価格上昇につながると思われる。
2 . プライバシー保護の需要の高さ
今後暗号資産の普及が進んでいけば、個人情報とウォレットアドレスが紐づけられる日も来るかもしれない。
つまり、このウォレットアドレスが〇〇さんのだと他人に把握されてしまうという事だ。
そうなると、ウォレットに多額の資金がある人が、犯罪者に襲われる可能性があります。
事実、海外ではこのような犯罪が実際に発生したそうです。『恐ろしい・・・』
『やはり、個人情報の保護は強化すべきですし、需要は今後も高まるでしょうね。』
それと、元NSA職員のエドワード・スノーデンさんが以下の発言をしている。
「Zcashのプライバシー技術は、ビットコインの代替品になり得るだろう。ビットコインは素晴らしいものだが、もしプライバシーが守られないのであれば、私的に安全とは言えない。」
ZECがBTCよりもプライバシーの観点では優れているので、ZECの方を推奨しているそうです。
確かに、政府による行き過ぎた監視から、自分の身を守る術は必要となるだろう。
デメリット
1 . 政府による規制
匿名性がかなり高いZECですが、この高い匿名性を悪用する犯罪が世界中で多発しているようだ。
ただでさえ、暗号資産を利用した詐欺が多発している状況で、匿名性が高い暗号資産は政府にとっては大迷惑な存在と言える。
ハッキング事件も多い上、犯人特定が難しい匿名通貨は国による規制が特に厳しくなるのは当然の流れだろう。
『まぁ、誰もが予想していた結末だ・・・』
日本の金融庁も、匿名通貨に関しての規制・監視は強化しており、日本の暗号資産取引所で匿名通貨を取り扱う日は来ないだろう。
それに加え、今まで匿名通貨を取り扱っていた海外の取引所も、政府の規制を受けて取り扱い中止にする動きが活発になっている。
『どれだけ匿名化の需要が叫ばれていようと、この状況だと価格は上がらないでしょうね・・・』
今後も政府による規制強化は続くと思われ、匿名通貨はこのまま消え去る可能性が高い。
2 . ライバル多し
匿名通貨は他にも多く存在しており、ZECと似た機能を搭載している。
- DASH(ダッシュ)
- Monero(モネロ)
- Verge(ヴァージ)
- Komodo(コモド)
- PIVX(ピヴクス)
この中でも、DASHの送金速度はかなり早く、ZECよりも使いやすいようだ。
ZECよりも、人気度が高い匿名通貨が多くあるので、差別化も重要となってくる。
将来性
既に超大手JPモルガンと提携を果たしている点では高評価であり、匿名性を求める需要が高いので期待できそうだ。
しかし、類似した匿名通貨の存在や、政府による匿名通貨取引の規制が懸念される。
特に政府の規制に関しては、価格の暴落に直接繋がりやすい為、今後も政府の動向には注目すべきだ。
hiroの見解
プライバシー保護は、今後も注目されますし、需要もなくならない。
私は個人的にZECが好きで、数枚保有している。
ただし、価格上昇はもう正直、期待していない。
むしろ価格は下落し続けるだろうと、半ば諦めている。
マネーロンダリング対策の為、政府の規制はこれからも強化されるので、あまり投資対象としてはお勧めしません。
それでも、この匿名技術は他の分野で応用される可能性があるので、覚えておいて損はしないと思います。