金鉱株ETF GDXの解説

量的緩和による紙幣価値棄損やインフレへの備えとして、貴金属投資が重要である事を説明してきた。

貴金属投資は比較的ポピュラーではあるが、その貴金属を採掘する金鉱会社の株への投資をしている人は少ないのではないだろうか?

貴金属への投資は配当が出ないが、金鉱株は会社の株式である為、業績が良ければ配当金を受け取れる。

また、貴金属に直接投資するよりも、金鉱株のほうが値動きが激しい為、リスクは高いもののその分リターンも享受できる。

世界的にインフレ傾向が見られるようになった今、金鉱株という新たなジャンルへの投資も検討してみてはどうだろうか?

GDXの基本情報

  • 運用会社:ヴァン・エック・グローバル
  • 運用開始:2006年
  • 連動指数:NYSE Arca 金鉱株インデックス (GDMNTR)
  • 信託報酬:0.51%
  • 取引単位:1株
  • 現在価格:3000円
  • 配当利回り:0.55%

構成銘柄

  

企業名 割合
ニューモント 15.1%
バリック・ゴールド 10%
フランコーネバダ 8%
ウィートン・プレシャス・メタルズ 6%
ニュークレスト・マイニング 5%
アグニコ・イーグル・マインズ 4.2%
カークランド・レイク・ゴールド 4.1%
ゴールド・フィールズ 3.5%
アングロゴールド・アシャンティ 3.2%
ノーザンスター・リソーシズ 3.1%

 

 

 

 

GDXの構成銘柄としては、大企業がメインに組み込まれているが特徴。

ニューモントは有名な会社で、S&P500に組み込まれており、信頼度は比較的高いと言われている。

バリック・ゴールドは、Goldへの投資をしないウォーレン・バフェットが2020年に投資を開始した事で話題になった。

GDXの国別比率

 

国名 比率
カナダ 50%
アメリカ 17%
オーストラリア 15%
南アフリカ 8%
ペルー 2%
中国 1.7%
ブラジル 1.6%
コートジボワール 1.2%
エジプト 1%
ロシア 0.7%

 




カナダの割合が全体の半分を占めている。これは鉱山がカナダに集中しているというよりは、カナダに金鉱会社が多い事が要因だと考えられている。

正直、この国別比率に関してはそれほど意識しなくていいだろう。

それより重要なのは、組み入れ企業がどれだけ分散されているかである。

その点、GDXは44社以上に分散投資されているので、ひとまずは十分と言えるだろう。

GDXの価格推移

それでは、GDXの価格を見てみよう。

GDXの価格は、2011年に最高値を付けた後に、大幅に暴落する格好となっている。

これは、2012年~2013年はFRBのバーナンキ議長が量的緩和の縮小を発表した事による、通称バーナンキ・ショックが下落要因と言われている。

量的緩和が縮小するという事は、債券市場への資金流入が途絶える事になり、債券に売り圧力が高まり債券利回りが上昇する。

これにより、金利が付かないGoldを売却し、利回りの高い債券へ資金が移動する動きが相次いで見られた。

Gold価格が暴落した事で、Goldを採掘し売却する事で利益を得ている金鉱会社の業績が下がる為、金鉱株も大幅続落したという訳である。

メリット

1. NISAで買うと手数料が無料

通常、株やETFを購入する場合は、購入する際に買付手数料を支払う必要がある。

この買付手数料は、信託報酬と違って買う時だけしか掛からないのだが、100円前後支払う必要がある。

また、保有資産を売却する場合にも同様、売却手数料を支払わなければならない。

このように、積み立て投資などで頻繁に取引するケースでは、結果的に多くの取引コストがかかってしまうのは痛いものだ。

しかし、楽天証券では「一般NISA」を選択する事で、これらの取引手数料が無料にできるのでお勧め。

まとめ

今回の記事では、金鉱株のETFであるGDXをご紹介してきた。

貴金属投資は今後も人気が高いテーマになっていくと思う一方、金鉱株はそれほど盛り上がっていない。

しかし、昨今の採掘技術向上により採掘コストが削減され、金鉱会社の利益率もたっか待ってきている。

それに加え、量的緩和によるインフレ加速の懸念を受け、Gold価格は今後も伸びていくだろう。

それに伴い金鉱会社の利益も伸びることで、金鉱株上昇によるリターンを享受できるのではないだろうか?

個人的に懸念しているのは、Goldやプラチナなどの希少金属の埋蔵量はどんどん少なくなっている点だ。

いずれ資源は枯渇し、もう掘り起こせる金属が無くなった場合は鉱山が閉鎖され、金鉱会社も事業撤退となる。

その為、金鉱株というのは超長期的に保有し続けるのは向いていないと思われ、売り時はきちんと見極めていきたいところだ。

GDXは、私も実際に長期投資のポートフォリオに組み込んでいるので、よかったら参考にしてみてほしい。

ただし、あくまでポートフォリオのごく僅かに留めておく事を推奨しておく。

ETF(上場投資信託)の最新記事