マイナンバー制度の隠れた懸念点

皆さんは、マイナンバーカードを作成しただろうか?

期限までに役所へ行って発行すれば、特別に政府から5000円のマイナポイントを受け取れると話題になっていただろう。

私もすぐにカード申請を行い、無事に5000円のポイントを手に入れた。


しかし、このマイナンバー制度とは何のために作られたのだろうか?

表向きでは、行政の煩雑な手続きを簡略化する為であったり、税金や社会福祉などの担当が異なる各省庁間で連携を取れやすくする狙いがあるとされる。


確かに役所での手続きは遅いだけでなく、無駄に態度のデカいおばさんもいる。

他の先進国と比較しても、なぜか日本のこうした行政サービスは手続きの仕方が古臭く、高い技術力を有する割には活用しないケースが多々見られている。

 

このような問題を解決しようとしているのだから、それは素晴らしい事ではないか。

行政の効率化を謳って導入されたマイナンバー制度により、マイナンバーと個人の預金口座を紐付け可能となった。

しかし、マイナンバー制度を導入するうえで懸念されている事がある。それは、資金繰りに悩まされている中小企業が連鎖的に倒産するシナリオである。



従業員の給与から税金や社会保険料を天引きする法人は全国に250万社あるが、日本年金機構に年金保険料を納付している法人は約170万社しかない。

至極当然のことだが、法人には社会保険の加入義務があり、現状としては80万社が違法状態(未払い)である。

 

マイナンバー制度が導入されると、法人で従業員に給与を支払っているのに、社会保険料未納な違法企業を瞬時に特定可能となる。

これまでは、社会保険と税金の分野では、統一された番号が存在しなかったために、各省庁間での情報の連携がうまく取れていなかっただけで、今後はバレずに逃げ切るのは困難となるだろう。

 

今の社会保険料率は従業員と折半であり、従業員に支払う給与の15%と設定されているが、企業の財務状況が悪く、納付を諦めざるを得ない零細企業・中小企業も多数存在しているのも事実。

マイナンバー制度によって効率化され、平等に全員から漏れなく税金や保険料を徴収できるのは当然良い事ではあるが、違法企業が摘発され倒産し、解雇された大量の労働者が路頭に迷うシナリオも同時に想定しておく必要がありそうだ。

 

本来、マイナンバー制度を提唱した理由は、行政手続きを簡略化し事務コストを下げ、かつ全員から平等にきっちり徴収できる透明性の高いシステムを構築したいからであった。

そうすることで、日本の財政を整え、社会保障を将来にわたって維持できるはずだと推察されていた。

 

しかし現実は厳しいもので、日本の財政を改善する為に取り入れたマイナンバー制度のせいで、保険料未払いの中小企業に厳しい処分が下り、リストラされる事で失業者は増加し、失業者達へ支払う生活保護費が日本の財政を圧迫しかねない事態になりそうだ。

世の中は我々が想像しているよりずっと複雑で、〇〇をすれば〇〇になるはずだ、というような思い通りに動くことは滅多に無いのだと覚えておこう。

 

 

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