あなたは、貴金属を資産ポートフォリオに組み込んでいるだろうか?
もし、貴金属に全く投資をしていないなら、この機会に投資の検討をしてみた方がいい。
なぜなら、リーマンショックやコロナショックを受けて、世界経済の先行きはより不透明性を高めており、経済基盤が揺らいだ国の法定通貨の価値は安全であるとは言い切れないからだ。
日本も含む世界各国は、これまでにないペースで財政赤字が拡大し、法定通貨を無制限に新規発行し続けている。
このような事態を受け、近年では貴金属への投資が人気となっている。
そこで今回は、貴金属に投資すべき理由について解説していく。
貴金属とは?
貴金属とはその名の通り、貴重な金属を意味しており、希少性が高く人工的に製造するのが非常に困難である特徴がある。
また、空気中で酸化しにくい性質も備わっている為、錆びる事もなく、美しい状態が長く保たれるので、アクセサリーとしての需要が高い。
貴金属には8つほど種類があるのだが、実際によく投資されているのは以下の4種類。
<貴金属の主な種類>
- 金(Gold)
- 銀(Silver)
- プラチナ(Platinum)
- パラジウム(Palladium)
この4つの中でも特に人気なのが、金(Gold)である。
私としても、貴金属に投資をするのであれば、まずはGoldに注目するべきだと思う。
貴金属投資の重要性
国の財政破綻リスクが高まっている?
日本政府の借金がデカすぎて、財政破綻するかもしれないと何度も噂されてきた。
現在の借金総額は、なんと約1100兆円を突破している。
国債と借入金、政府短期証券の残高を合計したいわゆる「国の借金」が2020年3月末時点で1114兆5400億円となり、過去最大を更新した。
しかし、借金の総額がここまで膨れ上がったものの、日本が財政破綻する気配は全くない。
日本が財政破綻するかどうかは、長年議論されてきたテーマだが、結論を言えば破綻する可能性はまだまだ低いと思われる。
とはいえ、こんなに莫大な借金を抱えたままで、本当に大丈夫なのだろうか?
しかも、この借金が増えるスピードは年々増加傾向にあると言う。
それに輪をかけるように、2020年のコロナショック。状況は悪くなる一方である。
財政悪化の問題以外にも、日本には解決困難な課題が山積みである。
年金制度崩壊・少子高齢化問題・南海トラフ巨大地震・富士山噴火・尖閣諸島問題などなど
これらの問題が深刻化していった場合、本当に日本の財政は安全であると言い切れるのだろうか?
もはや、国に頼れる時代は終焉を迎えつつあるようにさえ感じてしまう。
であれば、自分で稼ぐ為に必要な知識とスキルを身に着け、将来に起こり得るであろう危機に備えていく必要がある。
このような背景があり、私はリスク資産だけでなく、安全資産と呼ばれる金融資産に注目するようになったのだ。
貴金属は、安全資産の代表的な存在でもあるので、ぜひ特徴を学んでおいてほしい。
貴金属投資のメリット
1. インフレ対策として最適
コロナショック後の、無制限の量的金融緩和が続いた事により、金融界隈ではインフレ懸念が高まっている。
インフレとは、物価が通常より大きく上昇していく状態を指す。
それはつまり、相対的には紙幣の価値が低下している事を意味するのだ。
例えば、ジュース1本100円で購入できていたのに、インフレが起きた事で、500円にまで値上がりしたとする。
これを言い換えると、日本円を500円も支払わないと、ジュースを購入できなくなったという訳だ。
つまり、日本円の通貨価値がどんどん落ちている事を示唆している。
今回の例では、ジュースを用いて説明したが、インフレによる物価上昇の影響を受けるのは、ジュースだけではない。
日本円の価値が落ちるという事は、あらゆる物や資産の価格が上昇するという事だ。
その為、株や不動産や貴金属などの金融資産価格も軒並み上昇していく事が推測される。
しかし、株や不動産価格はその時の景気や世界情勢や地政学リスクなどの影響も受けやすく、インフレ時といえど暴落する可能性は大いにあり得る。
このことから、守りの資産としては、Goldを中心とした貴金属が最も無難だろう。
2. 信用リスクがない
金融資産を大きく分けると、2つに分類可能である。
- 信用をベースに発行される、ペーパー資産 (株式・債券・預金残高・暗号資産)
- 物自体に価値がある、実物資産 (貴金属・不動産・高級車・絵画)
②の実物資産には信用リスクがないが、①のペーパー資産には信用リスクが潜んでいる。
信用リスクとは、「株式・債券・通貨」を発行する「企業・国」が財政破綻(倒産)した場合、「投資元本・債務」を回収できなくなるリスクを指す。
簡単に言うと、A社の株式を購入した後に、A社が倒産したらA社の株価は0円になる。
日本の国債を購入した後に、日本が財政破綻したら日本国債の価値は紙くずになる。
このように、ペーパー資産に分類される金融資産は、その発行体の財政状況により命運が左右されるという訳だ。
国も企業も、永遠に存続できる保証など全くない。いつかは終わりが来るかもしれない。
その時に備えて、信用リスクがない金融資産にも投資しておく事が大切だろう。
その代表例が、貴金属である。
Goldやプラチナは、地球上に存在する量に限りがあり、そのような貴金属は装飾品や工業品としての需要がある。
つまり、ただの紙切れに過ぎない株式や紙幣と違って、貴金属にはそれ自体に価値がある。
だからこそ、貴金属がある日突然無価値になる事は考えにくいと思われる。
3. 各国政府が準備資産として採用
貴金属の代表でもあるGoldは、世界各国政府の準備資産として採用されている。
準備資産とは、IMF(国際通貨基金)が定めたもので、国が他国への債務や輸入代金の支払いに充てる為の資産のこと。
準備資産が多いほど、その国の経済的余力は高まり、信頼度も高まる傾向がある。
近年では特に、経済の先行きが不透明になってきており、コロナ危機が収束しても、また別の世界危機が訪れるかもしれない。
そうなれば、株や債券、そして国の法定通貨でさえも信頼できるか分からない。
何が起きてもおかしくない、そのような状況だからこそ、最も信頼度が高いGoldを中心とした貴金属の需要が世界中で高まっているのだ。
貴金属投資のデメリット
1. 為替変動リスク
貴金属は、国際的にドル建てで取引されている為、ドルでの価格表記が一般的である。
しかし、日本で貴金属を取引する場合は円建てなので、日本の貴金属価格はドル円為替相場の影響を受ける。
国際価格が変動せずとも、円高になると国内価格は下落し、円安になれば国内価格は上昇する。
その為、貴金属の国際価格だけでなく、ドル円相場にも目を通す事が大切だ。
これは、他のコモディティ(ビットコイン)なども同じ理屈なので、覚えておこう。
2. 流動性リスク
流動性とは、市場における取引の活発度を指す。
手持ちの金融資産を今すぐ現金化できるかどうかは、その資産の流動性の高さによる。
例えば、株式や債券、ビットコインなどの流動性は非常に高く、売りたい時にいつでも売れるので安心だ。
その一方で、不動産や現物の貴金属の流動性は低い為、数百万円~数千万円の資産の買い手がすぐに見つかるとは限らないので注意が必要。
3. 保管費用が高め
貴金属への投資方法はいくつかあるが、一般的には現物を直接保有する方法が人気ではないだろうか。
このような金地金などの現物を、直接自宅に保管するのであれば、「盗難・震災・火災」などに対策する為、強力な金庫の中に保管する必要が出てくるだろう。
その為、保管コストや手間がかかってしまう事もデメリットの一つである。
4. 利息も配当金も一切つかないので不人気?
株は配当金、債券や預金は金利収入、不動産は家賃収入が手に入るので魅力的だろう。
しかし、貴金属などのコモディティ商品は、そのようなインカムゲインは一切ない。
つまり、安く買い、高く売る事による差額の利益であるキャピタルゲインのみで稼ぐ事になる。
貴金属が値上がりする時というのは主に、世界経済が落ち込んでいる時や、世界情勢に懸念材料が増加した場合である。
その為、世界が悲観している時ほど、貴金属の保有者は儲かりやすいという皮肉な構図なのだ。
とはいえ、世界経済の成長は少しずつではあるものの上昇傾向にあると言われているので、大勢の投資家にとっては貴金属よりも株のほうに魅力を感じやすいのかもしれない。
hiroの見解
今回は、貴金属投資の重要性について解説してきた。
この内容を読んで、少しでも貴金属への興味を持ってもらえたら嬉しい。
私自身、リスク分散の重要性に早い段階で気づき、資産ポートフォリオの20%をコモディティ商品で運用しており、長期的視野を持って毎月積み立てている。
Goldだけでなく、銀やプラチナ、そして最近話題のビットコインへの投資も積極的に行っている。
一つの銘柄だけに注目するのではなく、沢山の銘柄の特徴を理解しておく事で、より安全で賢い資産運用が行えるようになるだろう。
まとめ
- 貴金属は、希少性が高く人工的に製造するのが困難
- メリットは、インフレ対策・信用リスク0・各国政府が準備資産として採用など
- デメリットは、保管コストが高い事や、利息が全く付かないこと
- リスク分散の観点から、貴金属投資は最適である