貴金属の投資手段

  • 2021年1月28日
  • 2021年1月28日
  • 貴金属

貴金属の投資手段は、現物投資だけでなく、他にもいくつか方法がある。

自宅で現物を保管する方法は、個人的には怖いのでお勧めできない。

 

実際に投資する前に、様々な投資手段について理解しておき、自分に合ったやり方を選ぶといいだろう。

 

この記事では、貴金属の投資手段について解説していく。

取引手法の種類

貴金属の取引手法は、大きく分けると2つに分類できる。

  1. 現物取引 (地金・コイン・純金積立・ETF・金属鉱工業株式)
  2. デリバティブ取引 (先物取引・CFD取引)

 

これらの取引手法は、自分が貴金属に投資する目的によって使い分ける。

  1. 現物取引 = インフレヘッジ対策として長期保有を目的とする人向け
  2. デリバティブ取引 = FXのように短期取引で差益を狙うプロ向け

 

基本的には、現物取引だけに注目しておいて構わない。

現物取引

1. 地金(インゴット)

貴金属を取引する上で人気なのが、地金(じがね)を直接購入する手段。

田中貴金属などの有名で信頼が高い国内会社に行き、店頭で購入する流れ。

 

販売店にもよるが、基本的に数十万円~数百万円単位での高額取引となるので、大きな投資元本がある投資家でなければ手を出せないだろう。

 

直接自宅に保管する方法になるので、自分の手で管理しておきたい人には最適だろう。

しかし自宅保管となると、「火災・浸水・震災・損傷・盗難」などのリスクが付きまとう。

 

その為、保管コストが大きく掛かりやすい事や、売却する際は販売店にまで出向く必要があるので手間がかかるのがデメリットだ。

2. 金貨・銀貨

その名の通り、金や銀の通貨であり、日常生活で支払いに使える通貨。

しかし、自動販売機や金貨受け取りを嫌う店などでは使えないケースも多い。

 

美しいデザインが描かれており、コレクションとしての人気が高い。

 

地金と比較すると、金や銀の重さが軽く価格が安いので、小額からの投資が可能。

だが、精巧なデザインを施すのに余計な製造コストが掛かっているので、販売価格もその分割高になりやすい。

 

長期的な資産防衛を目的とするなら、金貨より地金を選んだほうが良い。

3. 純金積立

貴金属投資の人気な投資手法に、純金積立と呼ばれる手法がある。

これはドル・コスト平均法を採用しており、毎月一定の金額をコツコツ自動的に積み立てる買い方である。

 

毎月1000円程度の少額投資も可能なので、無理なく長期にわたって継続できるのが魅力。

積みあがったお金が一定金額を超えると、実際に現物の地金と交換してもらえる。

 

デメリットとしては、購入手数料が毎回かかってしまう事や、板取引ではなく販売所での購入となるので価格が割高の傾向があるようだ。

4. ETF(上場投資信託)

貴金属の価格と連動するように運用されている、上場投資信託。ETFと一般的に呼ばれる。

 

投資信託とは、プロの投資家にお金を預けて運用を全て任せる手法。

もちろん、プロに支払う手数料を負担する事になるが、素人よりも遥かに優れた投資パフォーマンスを出してくれる事だろう。

 

ETFとは、そのような投資信託が上場している証券を指し、証券会社で株式同様に、いつでも売買が自由にできる。

そして、ETFは通常の投資信託よりも手数料が安い傾向があるのでお得だ。

 

あくまで証券での取引となるので、地金や金貨などの現物を取り扱わない為、現物の紛失リスクや保管コストは一切かからないので安心だ。

 

ETFの種類によっては、一定金額以上の資産になると、実際に地金と交換してもらえる。

個人的には、このETFをメインに貴金属の取引をしている。

5. 金属鉱工業株式

金属鉱工業とは、金属を実際に採掘する企業のことで、そのような会社の株式を購入する手段も候補の一つ。

 

金やプラチナを採掘するのは容易な事ではなく、狭く暗い坑道で重機を動かすなど、常に危険を伴う作業である。

実際に、作業中に人身事故が発生したケースも多い。

その為、採掘には非常に高いコストがかかるものだ。それら採掘コストよりも、採掘した貴金属の販売価格が高くないと会社は赤字に転落してしまう。

 

このことから、貴金属の現在価格により、採掘企業の株価は左右される事になるだろう。

 

貴金属の現物には利息や配当が一切つかないが、金属鉱工業株式には配当金が定期的に受け取れるものもある。

金属鉱工業株式は、貴金属価格と大体連動している上に配当金も出られるので、株式と貴金属のハイブリッドのようなイメージだろうか。

 

貴金属という安全資産の側面と、株の配当金という定期収入の両方を得られるのは魅力的だ。

まぁ、採掘会社が倒産しなければの話だが・・・

デリバティブ取引

1. 先物取引

先物取引とは、将来に売買する貴金属価格を、あらかじめ現時点で決定しておく取引。

 

例えば、1年後にGoldを1g6000円で購入すると現時点で決定しておくと仮定する。

1年経過後、Gold価格は1g8000円にまで上昇していたとする。

通常なら1g買うのに8000円支払うところを、今回は先物取引という形で事前に6000円で買う契約を結んでいたので、現在価格がいくらであろうと、6000円で買い取る事が可能だ。

 

一見、すごいメリットのように聞こえるが、1年経過後のGold価格が3000円にまで暴落していたら、事前に契約していた6000円という割高な価格で買い取るはめになるので、必ずしも得をする訳ではない。

 

ちなみに、未来に取引する価格を現時点で取り決めた証明書は、契約期限が訪れる前に他人に譲渡・転売する事が可能となっている。

その為、この証明書を期限前に転売することで差益を狙った取引が、プロの間では活発に行われている。

 

レバレッジを駆使したハイリスク・ハイリターンな短期取引も可能なので、凄腕のトレーダーにとってはお金儲けのチャンスと言えるだろう。

素人は、手を出さないほうが無難。

2. CFD取引

CFDは、様々なコモディティ商品を、FXのようにレバレッジを活かした証拠金取引が可能となる。

先物取引同様、こちらもプロ向けのデリバティブ取引に分類されるので、トレードに自信がない投資家は手を出さないこと。

投資する際のコツ

1. 長期保有を大前提とする

貴金属を現物取引するのであれば、長期的に保有する事を念頭に置いておく事が重要だ。

 

いかに安全資産と言われていても、常に価格が上がり続ける訳ではない。

取引量が多いGoldでさえ、過去に何度も大きな下落が起こっている。

 

実際に、Goldの価格チャートを見てみよう。

大幅に下落した形跡はあるものの、その下落した分を超える程の上昇が継続している事が分かる。

 

これは、各国政府による紙幣の新規発行が続いており、紙幣価値棄損を嫌がる投資家からのGold需要が高まっているからだと思われる。

量的金融緩和により、今後も紙幣の枚数が増加し続けていけば、そのお金が貴金属市場に流れ込むことで、貴金属の価格上昇を後押しする事になるだろう。

 

このことから、価格が大きく下落しても再度上昇してくるまで、売らずに保有する戦略で問題ないと思われる。

2. ドル・コスト平均法を採用する

貴金属も含め、様々な金融商品の現物を購入していく際は、ドル・コスト平均法を活用するのがお勧めだ。

この方法は、投資のプロ達も絶賛するほど、低リスクで安全な資産運用を実現しやすくなる現物の買い方である。

 

ドル・コスト平均法とは、毎月一定金額を購入し続ける手法のこと。

上図を見て分かる通り、価格が安い時の購入量は多く、価格が高い時の購入量は少ない。

一度に大きな金額を投資し価格が下落したら、評価損益が大幅にマイナスになってしまう。

 

ドル・コスト平均法は、このような価格変動リスクを抑える事ができ、長期投資に最適な戦略といえる。

hiroの見解

今回は、貴金属の投資手段について解説してきた。

 

数ある投資手段の中でも、私個人的にお勧めな投資手段は、ETF(上場投資信託)だ。

保管コストや盗難・紛失リスクがなく、手数料も安く、小額からいつでも売買可能という点に魅力を感じた。

 

金属のETFでも、調べればいくつか出てくるのだが、私は下記のETFに注目している。

 

<金の果実シリーズ>

  • 純金上場信託(1540)
  • 純プラチナ上場信託(1541)
  • 純銀上場信託(1542)
  • 純パラジウム上場信託(1543)

 

これらのETFは、資金が積み重なると、実際に現物の地金と交換してもらえる。

さらに、楽天証券の一般NISA口座を通じて売買する事で、利益は非課税扱いの対象となる。

 

投資手段で迷った人は、この方法を参考にしてみてはどうだろうか?

まとめ

  • 取引手法には、現物取引とデリバティブ取引の2種類がある
  • 投資初心者なら、ETFを選んでおけば無難
  • 貴金属は、長期保有を大前提とする
  • ドル・コスト平均法を活用して購入していく
  • 一般NISAを賢く活用すれば、税金も抑えられる!

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