米国株ETF VOOの解説

世界最大の経済大国であるアメリカ、その中でもエリート企業として選抜された上位500社に分散投資してくれるS&P500指数は、多くの投資家に注目されている。

高い成長性と安定性を兼ね備えた企業群への投資は、資産形成を進めていくうえで非常に有効的である。

今回の記事では、S&P500指数に連動しているETF、VOOについて解説していきたい。

VOOは、私も実際に長期投資のポートフォリオに組み込んでいるので、よかったら参考にしてみてほしい。

VOOの基本情報

  • 運用会社:バンガード社
  • 運用開始:2010年
  • 連動指数:S&P500
  • 信託報酬:0.03%
  • 取引単位:1株
  • 現在価格:$400(44,000円)
  • 配当利回り:1.3%

S&P500指数とは?

S&P500とは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが公表している米国の株価指数であり、世界的にも非常に有名である。

米国のニューヨーク証券取引所とNASDAQ市場の中から、選ばれし上位500社を時価総額で加重平均し指数化している。

組入銘柄の選定基準は米国に本拠地を置き、時価総額が1兆5000億円以上、4期連続黒字など厳格な基準をクリアした超優良企業で構成されている。

S&P500指数だけで、米国株式市場全体の8割近くの時価総額を占めているので、まさに米国を代表するエリート企業と言えるだろう。

VOOの構成銘柄

VOO(S&P500)の構成上位10銘柄を見ておこう。

下記の表には、誰もが一度は聞いたことがあるグローバル企業の名が並んでいるのが分かる。

 

<企業名> <構成比率>
アップル 6.2%
マイクロソフト 5.6%
アマゾン 4.3%
フェイスブック 2.6%
アルファベットC 2.5%
アルファベットA 2.4%
テスラ 1.4%
バークシャー・ハサウェイ 1.8%
エヌビディア 1.6%
ビザ 1.2%

 

 

 


GAFAM(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン、マイクロソフト)と呼ばれる超大企業5社が全体の25%、つまり4分の1を占めているようだ。

500社が選別されているはずなのだが、たったの5社だけで全体の4分の1も占められているのは分散投資としてどうなのだろうか?

大手ハイテク企業の業績によって、S&P500価格は大きく左右されてしまう事を念頭に置いて取引するようにしよう。

VOO(S&P500)の価格推移

それでは、S&P500指数の価格を見てみよう。


2000年代に入ってから大きく上昇している。これは、ITブームが起こりハイテク企業を中心に業績が大幅に向上した事が要因と言われている。

2008年にリーマンショックが発生し、一時的に大暴落しているものの、量的金融緩和の恩恵を受けて上昇し続けている。

2020年のコロナショック時でも大暴落が起こったが、過去に前例の無い大規模な量的緩和をFRBが打ち出した事で、まだパンデミックが収束していないにも関わらず、歴史上最高値を更新し続けている。

VOO(S&P500)に投資している人は、どこで購入していても全員が利益を出している状況である。

投資に絶対など無いが、それでもS&P500指数に連動した商品への投資は、高いパフォーマンスを発揮してくれそうだ。

メリット

1. 経費率が激安

VOOの信託報酬(経費率)は、なんと0.03%と非常に低く設定されている。

同じS&P500に連動した投資信託では、約0.2%~0.5%ほどかかるもの。

それと比較すれば、0.03%という経費率は格安だろう。

20年~40年という長期にわたって投資を継続するうえで、このたった0.1%の手数料の差であっても、決して無視できる訳ではない。

2. 運用パフォーマンスが非常に高い

既に説明したが、VOO(S&P500)は過去に何度も大暴落を経験してきたものの、その下げ幅を打ち消すほどの大幅上昇を見せてきた。

コロナウィルスが収束した後も、また別の大きな危機が訪れる事が想定される。

しかし、優秀な人材が集まった優良企業で構成されたS&P500であれば、高い成長率と安定性を維持できると思われるので、長期目線で見れば右肩上がりを続けられるのではないだろうか?

デメリット

1. 購入単価が高い

VOOの取引単位は1株から受け付けているが、1株の現在価格は45000円と決して安くはない。

投資は安く買うのが鉄則ではあるものの、いつでも安値で購入できるとは限らない。

自分が安値と思って購入した価格よりも、さらに下落してしまう事なんてよくある話だ。

その為、段階的に分割買いしていく戦略がお勧めなのだが、ここまで価格が高ければ安易に追加買い増しなど出来ないだろう。

ドル・コスト平均法は、VOOには適用しずらいのが現状である。

2. GAFAMの構成比率が高い

無敵と言われるS&P500でさえ、大きな問題を抱えている。

GAFAMの構成比率が全体の4分の1も占めている点だ。本来であれば、米国優良企業500社に分散して投資するのが魅力だったはずである。

しかし、時価総額のウェイトを重視したことで、5社のIT企業の割合が大きくなりすぎてしまっている。

コロナ禍でもS&P500が大幅上昇でいた要因として、巣ごもり需要としてAmazonでのネット注文が増加した点や、各社テレワーク導入によるIT製品の需要増加も多分に影響を受けているだろう。

これらの過熱的な需要が低下すれば、GAFAMの株価も下落し、結果的にS&P500も下落圧力が掛かりやすい事が想定される。

また、GAFA解体論や独占禁止法(反トラスト法)の懸念点も存在している。

なんにせよ、GAFAMの株価動向はVOO(S&P500)の将来価格を左右する重要指標なので、これからも注目しておきたい。

まとめ

  • VOOは、S&P500に連動するETF
  • S&P500とは、米国の選ばれし上位500社を指数化した数値。
  • 経費率が0.03%と非常に安い
  • 運用パフォーマンスが非常に高い
  • 購入単価が高いので、ドル・コスト平均法には向かない
  • GAFAMの構成比率が高く、完璧な分散投資とは言えない

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