株式投資と言ったら配当金。どうせ貰えるならできるだけ多くの配当金が欲しい。
しかし、多くの配当金を出しているとはいえ、すぐに企業が減配に転じたり倒産するようでは意味がない。
そこで今回は、アメリカ企業の信頼性が高く、配当利回りも高水準を維持している企業に投資できるVYMというETFを紹介したい。
VYMは、私も実際に長期投資のポートフォリオに組み込んでいるので、よかったら参考にしてみてほしい。
VYMの基本情報
- 運用会社:バンガード社
- 運用開始:2006年
- 連動指数:FTSEハイディビデンド・イールド指数
- 信託報酬:0.06%
- 取引単位:1株
- 現在価格:$100(11,000円)
- 配当利回り:2.8%
FTSEハイディビデンド・イールド指数とは?
FTSE Russellが公表する指数で、米国株式市場における配当利回りが上位の銘柄で構成され、時価総額加重平均を用いて銘柄のウエートを調整している。
つまり、配当利回りが高水準な米国企業のみをピックアップして、手軽に分散投資できる株価指数である。
VYMの構成銘柄
VYM(FTSEハイディビデンド・イールド指数)の構成上位10銘柄を見ておこう。
下記の表には、誰もが一度は聞いたことがあるグローバル企業の名が並んでいるのが分かる。
<企業名> | <構成比率> |
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー |
3.5% |
ジョンソン・エンド・ジョンソン |
3.3% |
ホーム・デポ |
2.6% |
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) |
2.5% |
バンク・オブ・アメリカ |
2.3% |
コムキャスト |
2.0% |
ファイザー |
1.9% |
シスコシステムズ |
1.8% |
エクソンモービル |
1.7% |
ベライゾン・コミュニケーションズ |
1.6% |
次に、セクター構成比率を見ておこう。
<セクター名> | <構成比率> |
金融 | 22% |
生活費需品 | 13% |
ヘルスケア | 12% |
資本財 | 10% |
一般消費財 | 8% |
公共事業 | 7% |
通信 | 7% |
エネルギー | 6% |
素材 | 5% |
VYMは、金融セクターの比率が突出して高いのが分かる。金融業は利益率が高い業態の為、配当も高くなりやすい。
生活費需品やヘルスケアのセクター比率も高く、景気の良し悪しに関わらず、常に安定した利益が出しやすい為、高配当を維持できやすいと言われている。
VOOではITなどハイテク企業の比率が高かった一方で、VYMは幅広いセクターに分散されているのが分かる。
VYMの価格推移
それでは、VYM(FTSEハイディビデンド・イールド)の価格を見てみよう。
2008年のリーマンショック時を最安値につけた後、現在に至るまで右肩上がりが続いているようだ。
コロナショックも含め、過去に3回以上急落を経験しているものの、長い下髭を付けて大幅上昇を見せてきた。
早期リタイアを目指す流れが活発な今、安定的に高配当を出し続ける米国企業への投資は非常に人気が高まっている。
その為、次に大きな暴落が起こるようであれば、ぜひとも積極的に安く買い仕込んでいきたいものだ。
メリット
1. 経費率が激安
VYMの信託報酬(経費率)は、なんと0.06%と非常に低く設定されている。
他の投資信託では、約0.2%~0.5%ほどかかるもの。
それと比較すれば、0.06%という経費率は格安だろう。
20年~40年という長期にわたって投資を継続するうえで、このたった0.1%の手数料の差であっても、決して無視できる訳ではない。
2. 高配当率を維持している
VYMは、世界で最も経済力が高いアメリカ企業のみに焦点を当て、さらに高配当を安定的に出し続けた実績のある企業に厳選して投資している。
しかし、近年の株式投資ブームにより、今の相場はバブルに近づいてきている。
配当の金額自体は急に増える事は滅多に無いため、株価だけが一方的に上昇し続けてしまうと、配当利回りも下がってしまう。
S&P500でさえ、配当利回りは1.5%程度に下がってしまった。数年前なら、3~4%は得られていたのだが。
このように、株価が高騰し続けていくと次第に旨味のある投資先が限られてくるので、今後はより高配当銘柄への投資が注目されるのではないだろうか?
デメリット
1. 株価の大幅上昇は見込みにくい?
VYMは高配当銘柄に厳選して投資している特徴があるETFなので、投資先は長年経営が安定している企業がほとんどである。
それはそれで良い事ではあるのだが、悪く言うとそれ以上成長の見込みが薄い企業とも言い換えられる。
例えば、まだ世間的にも無名なベンチャーや中小企業であれば、将来的に株価が何十倍にも跳ね上がる可能性が見込めるだろう。
しかし、VYMに組み込まれている構成銘柄では、そういった急成長していけそうな企業は無いため、VYM価格自体も急上昇するとは考えにくい。
それに加えて、高い配当金を投資家に支払うという事は、それだけ事業投資に回せる資金が減るので、事業の拡大もしにくい要因となっている。
まとめ
- VYMは、FTSEハイディビデンド・イールド指数に連動するETF
- FTSEハイディビデンド・イールド指数とは、米国の高配当銘柄を厳選した株価指数
- 経費率が0.06%と非常に安い
- 高配当を長年維持している
- 投資先企業は既に成熟しており、株価急騰は見込みにくい