欧州株ETF VGKの解説

日本から遠く離れたヨーロッパへの投資に興味はないだろうか?

米国や日本だけでなく、欧州諸国の先進国も経済成長は見込まれており、世界中に分散投資する上でも欧州株にも注目しておきたい。

そこで今回は、EUなどの欧州株に分散投資ができるVGKというETFを紹介したい。

VGKは、私も実際に長期投資のポートフォリオに組み込んでいるので、よかったら参考にしてみてほしい。

 

VGKの基本情報

  • 運用会社:バンガード社
  • 運用開始:2005年
  • 連動指数:FTSEディベロップド・ヨーロッパ大中小型株指数
  • 信託報酬:0.08%
  • 取引単位:1株
  • 現在価格:$65(7000円)
  • 配当利回り:2.3%

FTSEディベロップド・ヨーロッパ大中小型株指数とは?

FTSEディベロップド・ヨーロッパ大中小型株指数は、ヨーロッパ先進国株式市場の浮動株調整時価総額株価指数である。

つまり、ヨーロッパの先進国のみに焦点を当てて、幅広く分散投資が可能となっている。

欧州先進国17ヵ国と、1200社以上の企業で銘柄構成されている。

VGKの構成銘柄

VGK(FTSEディベロップド・ヨーロッパ大中小型株指数)の構成上位10銘柄を見ておこう。

下記の表には、コロナ禍で有名となった、アストラゼネカ社の名前が挙がっている。

 

<企業名> <構成比率>
ネスレ 2.7%
ASMLホールディング 2.5%
ロシュ・ホールディング 2.2%
ノバルティス 1.5%
LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン 1.4%
アストラゼネカ 1.4%
SAP 1.3%
ノボ・ノルディスク 1.2%
ユニリーバ 1.1%
シーメンス 1.0%

 

 

 

 

次に、セクター構成比率を見ておこう。

 

<セクター名> <構成比率>
消費財 19%
金融 18%
ヘルスケア 16%
資本財 15%
テクノロジー 7%
消費サービス 6%
素材 6%
石油・ガス 5%
公共 4%

 

VGKは、消費財・金融の比率が比較的多いのが分かる。

近年の欧州諸国では健康志向が非常に高まっており、ヘルスケア関連の業種に注目が集まっている。

最後に、構成国比率を確認しておこう。

 

<構成国> <構成比率>
イギリス 24%
フランス 16%
ドイツ 14%
スイス 13%
オランダ 6%
スウェーデン 6%
イタリア 4%
デンマーク 3.5%
スペイン 3.3%
フィンランド 2.2%

 

 

 

EU(欧州連合)から離脱した事で話題となった、イギリスが欧州最大の構成比率となっている。

次に、フランス・ドイツ・スイスの比率も高く、経済的に安定した国への投資が多い。

VGKの価格推移

それでは、VGK(FTSEディベロップド・ヨーロッパ大中小型株指数)の価格を見てみよう。


2008年のリーマンショック及び2020年のコロナショック時に、大暴落が発生しているのが分かる。

暴落後に比較的短期間で価格が持ち直してきているものの、長期的な値動きとしてはレンジ圏内に留まっている。

現在はコロナショックの経済危機を、欧州各国が量的緩和によって乗り越えようとした為、一部の余ったお金が株式市場に流れ込んできた要因で、株価が急上昇しているようだ。

この上昇トレンドが今後も継続するかどうかは、景気の良し悪しよりも量的緩和が続くかどうかによるだろう。

メリット

1. 経費率が安い

VGKの信託報酬(経費率)は、0.08%とかなり安く抑えられている。

他の投資信託では、約0.2%~0.5%ほどかかるもの。

それと比較すれば、0.08%という経費率は格安だろう。

20年~40年という長期にわたって投資を継続するうえで、このたった0.1%の手数料の差であっても、決して無視できる訳ではない。

2. 幅広い国に分散投資ができる

VGKは、欧州17ヵ国、1200社以上の企業に幅広く分散投資ができる。

欧州諸国は、米国や中国よりも経済の急成長は見込みにくいが、自然災害やカントリーリスクを分散しておくのは重要だろう。

特に経済成長が著しい中国は米国からの経済制裁が強化されており、今後の成長率が鈍化しやすい事が想定されている。

その為、これからの株式投資では成長率が高い国への集中投資よりも、カントリーリスクを抑える為に世界中の国へと分散投資するほうが無難であると考えている。

VGKに投資することで17ヵ国を超える国に、手軽に分散投資できるので便利である。

デメリット

1. 株価が上昇しにくい

EU(欧州連合)から、経済力が高いイギリスが離脱したり、EU加盟国のギリシャが何度も財政危機に陥ったり、フランスで自爆テロが発生したりと、政治的なトラブルを多く抱えている国も多い。

VGKの構成銘柄に、経済成長が長年停滞気味なイタリアや、あまり経済が発展していない小国が多数組み入れられている事が、VGK価格が上昇しずらい要因となっている。

それに加えて、EU加盟国は各国政府が自国の経済状況に応じて、自由に金融緩和や国債を大量に発行するのが難しい。

政治的な問題として、EU加盟国の間では人々が自由に行き来できる為、テロリストの行動範囲も広まってしまう。

直近では、アフガニスタン政府がタリバン政権に掌握された事で治安が悪化しており、イスラム過激派や凶悪なテロ組織が再び活発的になる恐れもある。

まとめ

  • VGKは、FTSEディベロップド・ヨーロッパ大中小型株指数に連動するETFである
  • VGKは、17ヵ国1200社以上の欧州企業に分散投資ができる
  • VGKの価格は最高値を更新できておらず、今後も上昇しにくい要因が多い

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