多くの投資家は、日本株や米国株を中心に投資しているようだが、世界には急成長の見込みがある発展途上国がたくさん存在する。
先進国では、少子高齢化や人口減少が進む中、途上国では人口が増え続けており、これからも経済が発展する可能性が高い。
そこで今回は、発展途上国株に分散投資ができるVWOというETFを紹介したい。
VWOは、私も実際に長期投資のポートフォリオに組み込んでいるので、よかったら参考にしてみてほしい。
VWOの基本情報
- 運用会社:バンガード社
- 運用開始:2005年
- 連動指数:FTSEエマージング・マーケッツ・インデックス指数
- 信託報酬:0.1%
- 取引単位:1株
- 現在価格:$50(6000円)
- 配当利回り:2.1%
FTSEエマージング・マーケッツ・インデックス指数とは?
FTSEエマージング・インデックスは、時価総額加重平均を用いて、全世界の新興国市場の大型株・中型株を投資対象とする。
つまり、世界中の発展途上国にのみ分散投資ができる株価指数である。
VWOの構成銘柄
VWO(FTSEエマージング・インデックス指数)の構成上位10銘柄を見ておこう。
下記の表には、TSMCやテンセント、アリババなど聞いた事がある会社もあるが、知らない会社も多いだろう。
<企業名> | <構成比率> |
台湾積体電路製造TSMC | 4.9% |
テンセント・ホールディングス | 4.5% |
アリババ・グループ・ホールディング | 3.6% |
TSMC(US) | 1.7% |
Meituan | 1.5% |
リライアンス・インダストリーズ | 1.2% |
インフォシス | 1.0% |
ヴァーレ | 0.8% |
HDFC | 0.8% |
中国建設銀行 | 0.8% |
次に、セクター構成比率を見ておこう。
<セクター名> | <構成比率> |
金融 | 24% |
テクノロジー | 19% |
消費サービス | 15% |
資本財 | 9% |
消費財 | 8% |
石油・ガス | 7% |
素材 | 6% |
ヘルスケア | 4% |
電気通信 | 3% |
VWOは、金融とITセクターの比率が4割を超えているのが分かる。
中国やインドでは、先進国にも引けを取らないレベルでIT技術が向上しており、今後も発展が見込まれている。
最後に、構成国比率を確認しておこう。
<構成国> | <構成比率> |
中国 | 42% |
台湾 | 15% |
インド | 9% |
ブラジル | 6% |
南アフリカ | 4% |
ロシア | 3.6% |
タイ | 3.0% |
サウジアラビア | 2.7% |
マレーシア | 2.5% |
メキシコ | 2.2% |
見て分かる通り、中国と台湾の構成比率が全体の半分を超えており、分散投資の効果が高いとは言えない構成である。
中国経済は世界経済に多大な影響を与えるまでに成長した大国なので、その中国経済が低迷するような事態に陥れば、VWO価格も伸び悩む可能性は考慮しておきたい。
VWOの価格推移
それでは、VWO(FTSEエマージング・インデックス)の価格を見てみよう。
2008年のリーマンショック時を最安値につけた後、大きく上昇反発を見せているものの、未だに最高値を更新することは出来ていない。
2020年のコロナショック時でも暴落しているが、量的緩和の影響もあってか歴史上最高値付近に到達している。
しかし、現時点では先進国のワクチン接種率は高まっているものの、途上国ではワクチン格差が拡大しており、貧困層には全くワクチンが行き届いていない。
これは、途上国の経済回復に少なからず悪影響を与える事になるだろう。
また構成比率の4割以上を占める中国が、世界から経済制裁を強化される事態となっており、これもまたVWOの下落圧力を強めている。
このように、VWOは未だレンジ圏内の値動きに留まっており、最高値更新を続ける米国株と比較すると、やはり投資パフォーマンスは劣ってしまう。
メリット
1. 経費率が安い
VWOの信託報酬(経費率)は、0.1%とかなり安く抑えられている。
他の投資信託では、約0.2%~0.5%ほどかかるもの。
それと比較すれば、0.1%という経費率は格安だろう。
20年~40年という長期にわたって投資を継続するうえで、このたった0.1%の手数料の差であっても、決して無視できる訳ではない。
2. 幅広い国に分散投資ができる
VWOは、途上国24ヵ国、5200社以上の企業に非常に幅広く分散投資ができる。
途上国は、成熟した先進国よりも経済急成長による株価爆上げシナリオも十分に期待できるが、やはりその分リスクも大きい。
その為、発展途上国への投資は巨額の損失を出しかねないリスクを受け入れなければならないので、投資する際はできるだけリスク分散させておきたい。
VWOに投資することで5000社を超える企業に、手軽に分散投資できるので便利である。
デメリット
1. 中国株の構成比率が高すぎる
世界中の発展途上国に分散投資していると言う割には、中国の比率が42%とあまりに高い。
先ほども説明したが、VWOの価格は中国経済の動向に左右されやすいのが懸念点である。
対中包囲網が米国を筆頭に強化されつつあり、人権問題を抱える中国との貿易を控える企業も増加する可能性が高い。
また中国国内でも格差問題・少子高齢化・貧富の格差・食料危機・軍事費などの国費負担増加・国際社会からの信用失墜・反中組織によるテロ攻撃・民族独立運動などなど、挙げればきりがない程に深刻な課題が山積みである。
本当に、中国がアメリカにとって代わる程の経済成長を続けられるのか、また軍事的優位性も保てるのか怪しくなってきている。
個人的にはインドやシンガポールなどの比率をもう少し高めてほしいと考えている。
VWOへの投資は、実質的には中国への投資のようなものと捉えて、過度に投資しすぎないように投資配分を調整しよう。
まとめ
- VWOは、FTSEエマージング・インデックス指数に連動するETFである
- VWOは、世界中の途上国に幅広く分散投資が可能となっている
- VWOの価格は、未だに2007年の最高値を更新できていない
- 中国の構成比率が42%と高すぎるのが懸念点