近年、著しい経済発展を遂げてきた中国。株式投資をするのであれば、このように成長性の高い国にも注目しておくべきだろう。
中国市場は、中国政府による規制が厳しく、米国市場と比較すると自由な取引が難しい。
直接中国株へ投資するよりも、それなりに自由に株取引ができる香港株を選んだほうが無難である。
香港は最近、中国政府による圧力を受け国家安全維持法が施行された事で、より中国経済の景気と連動しやすくなっている。
そこで今回は、香港株に分散投資ができる2833というETFを紹介したい。
2833は、私も実際に長期投資のポートフォリオに組み込んでいるので、よかったら参考にしてみてほしい。
2833の基本情報
- 運用会社:ハンセン・インベストメント・マネジメント
- 運用開始:2004年
- 連動指数:香港ハンセン指数
- 信託報酬:0.1%
- 取引単位:100株
- 現在価格:25HKD(360円)、100株単位で2500HKD(36,000円)
- 配当利回り:2.8%
香港ハンセン指数とは?
香港ハンセン指数とは、香港市場を代表する企業群で構成され、時価総額の大きさでウェイトが算出される株価指数である。
構成銘柄は52社のみで、かなり少ないほうだ。
しかし最近では、52社から80社に拡大され、単一銘柄の比重の上限を現在の10%から8%に変更されるようだ。
2833の構成銘柄
2833(香港ハンセン指数)の構成上位10銘柄を見ておこう。
<企業名> | <構成比率> |
Meituan
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8.4% |
騰訊控股[テンセント・ホールディングス]
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8.1% |
友邦保険控股 [AIAグループ]
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8.0% |
アリババ・グループ・ホールディング
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7.5% |
HSBCホールディングス
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6.8% |
中国建設銀行 [チャイナ・コンストラクション
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4.8% |
香港取引所
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4.5% |
薬明生物技術[ウーシー・バイオロジクス・
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3.6% |
小米集団[シャオミ]
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2.8% |
中国平安保険(集団) [ピンアン・イン
|
2.7% |
次に、セクター構成比率を見ておこう
<セクター名> | <構成比率> |
金融 | 42% |
景気連動型消費財 | 16% |
通信 | 14% |
不動産 | 7% |
テクノロジー | 4.3% |
ヘルスケア | 4.1% |
工業製品 | 4.0% |
公共 | 3.6% |
エネルギー | 2% |
金融の比率が半分近くを占めており、非常に偏っているのが分かる。
次に、景気連動型消費財も比較的多く金融と同じく、これらのセクターは景気に敏感である。
景気が悪くなると、2833ETFの価格が一気に下落トレンドに転じやすくなるだろう。
2833の価格推移
それでは、2833(香港ハンセン指数)の価格を見てみよう。
2008年のリーマンショックで強烈な大暴落が発生しているが、その後10年かけて最高値を更新できている。
2009年の底値を起点にして見てみると長期的には右肩上がりのように見えるが、全体的には未だレンジ相場の範囲内の動きに過ぎない。
着目すべき点は、2020年のコロナショック時の値動きであり、暴落したものの下落率はそこまで高くなく、下髭を付けてすぐに上昇反発に転じている。
直近では、大手不動産の恒大集団がデフォルト(債務不履行)する可能性が高まっている為、リスクオフ相場に入っているようだ。
メリット
1. 経費率が安い
2833の信託報酬(経費率)は、0.1%とかなり安く抑えられている。
他の投資信託では、約0.2%~0.5%ほどかかるもの。
それと比較すれば、0.1%という経費率は格安だろう。
20年~40年という長期にわたって投資を継続するうえで、このたった0.1%の手数料の差であっても、決して無視できる訳ではない。
2. 中国経済に分散投資が可能
香港ハンセン指数には、中国の大企業も採用されており、香港経済は中国経済と連動しやすい傾向がる。
中国経済は近年、著しい経済成長を遂げてきており、日本を抜いて世界2位のGDPにまでとなった。
軍事力に関しても、日本やロシアを追い抜かし、米国と肩を並べる水準にまで強化されている。
習近平政権による一党独裁が続くことで、今後も中国経済は長期的に成長する余地があると思われる。
デメリット
1. 中国には懸念事項が多い
著しい経済発展を遂げた中国だが、本当にこれからも経済成長が続くのだろうか?
一部の著名投資家は、今後数十年以内に中国がアメリカを経済・軍事において上回り、世界の覇権を勝ち取ると予測しているようだ。
しかし、中国の自己中心的な立ち振る舞いは米国を始め、周辺諸国からの反感を強めており、今では中国包囲網が結成されている状況である。
また、中国は多くの国と国境問題を抱えており、軍事的衝突のリスクも完全には捨てきれない。
少子高齢化問題、国の財政難、食糧危機、水不足、経済格差、エネルギー調達コストの増加、他国からの経済制裁など。
一対一路政策も、アフガニスタンがタリバン政権に代わった事で、計画が頓挫する恐れがある。
他にも懸念事項は山ほどあるが、中国がアメリカを打ち負かせるほど経済発展が続いていく可能性はそれほど高くはないかもしれない。
まとめ
- 2833は、香港ハンセン指数に連動するETFである
- 2833は、香港(中国)の企業80社に分散投資ができる
- 2833の価格は、中国経済の先行きに委ねられている
- 中国経済が、今後も発展し続けられるかは怪しい