金 (Gold) の解説

  • 2021年8月14日
  • 2021年8月14日
  • 貴金属

皆さんは、自身の運用ポートフォリオに、Goldを組み入れているだろうか?

昨今の、大規模な量的緩和が続いたことで、米国ではインフレが進行している。

インフレ(物価上昇)が進み続けると、物の値段が高くなるので生活が苦しくなってしまう。

そこで、長期的インフレに備える努力が必要不可欠となる。インフレ対策と言えば、Gold。

一生懸命に働いて稼いだお金の価値(購買力)を守る為に、Goldを少しでも買っておくほうが安全だろう。

この記事では、Gold投資のメリット・デメリットについて解説する。

Gold(金)とは?

原子番号79、元素記号Au

Goldは、民族、文化、国家、宗教、そして何世代にも渡り信頼され続けた歴史がある貴金属である。

人類史上、これほど価値があると信頼された物は存在しないだろう。

この長い歴史を考慮すれば、日本円や米ドル、ビットコインなどとは比較にならない程の信頼の蓄積があると言える。

 

Goldの主な用途としては、全体の5割は宝飾品として用いられる事が多い。

特に中国では、装飾品としてのGold買い需要が世界的に見ても活発であり、中国経済が成長すれば、このGold需要も伸びるだろう。

残りの4割の用途は、インフレ対策などが目的で買われる投資需要である。

最後の1割は、医療や工業に用いられている。

メリット

1. 株価大暴落に備える

貴金属、特にGoldは資産ポートフォリオの5%~10%程度を組み込んでおく事が推奨されている。

 

これは、リスク分散という観点では非常に重要なことである。

なぜなら、資産の多くを「株・不動産・暗号資産」などのハイリスクな金融商品ばかりに投資していた場合、コロナショックのような危機が起こると資産が著しく目減りしてしまう。

 

そして素人の多くは、急激な資産価値の暴落に耐え切れなくなったり、どこまで下がるか分からない恐怖でパニックになり、適当なポイントで投げ売りをしてしまう。

本当に悲しいのが、保有銘柄を売ってしまった後に、何事もなかったように価格が上昇回復していく事だ。

これでは、損失を確定させてしまった挙句、売った商品を買い戻す前に価格が上昇しているので、投資を続ける気がなくなってしまう。

 

このような最悪の事態を避ける為にも、リスク分散が大切だ。

Goldは安全資産と言われる分類であり、リスクの高い資産である株や不動産とは逆の値動きをする傾向が高い。

実際に、2020年3月に起きたコロナショック直後の株式とGoldのチャートを見てみよう。

左側がダウ平均株価。 右側がGoldの価格。

コロナショック直後では、株もGoldも大きく下落しているのが分かる。

その後、価格が回復し始めたものの、半年が経過しても株価は暴落前の高値を超えられない。

しかし、Goldは暴落前の高値を強く上抜け、需要がかなり高まっているのが分かる。

 

このように、世界経済が冷え込み株価が下落している状況下では、特にGoldは買われやすい傾向がある。

 

ここで注意すべきなのは、Goldを買うタイミングである。

有事の際に株価が暴落してからGoldを買うのでは遅すぎるし、高値掴みになりやすい。

買うべきタイミングとしては、株価が不自然に上がり続け、大勢の投資家が楽観視している状況がお勧めだ。

つまり、有事に備える為のGoldは、平時にコツコツと買い増しておく事が重要だ。

2. インフレ対策に最も有効的

世界各国の中央銀行は、経済が激しく落ち込む度に、その救済策として量的金融緩和という金融政策を打ち出してきた。

そして、2020年のコロナショックによる経済的損失をカバーする為、どこの国も歴史上最大規模の量的緩和を行っている。

量的緩和の詳しい解説は、下記のサイトに書いてあるので、そちらを参照してもらいたい。

 

長期的には物価上昇トレンドが継続すると思われ、そうなれば生活は当然苦しくなる事が予想される。

使わないお金を銀行口座に貯金しているだけでは、0.001%という僅かな利子しか付かない。

それなのに何故、大切なお金を無意味に預金するのだろうか?

 

物価や税金が高くなる以上、我々も資産を少しでも増やす努力をしなければならない。

インフレ対策として、最も有効的とされるのがGold。

 

下記は、Gold価格の長期チャートである。


1970年代以降、Gold価格は右肩上がりである。これは言い換えると、米ドルの価値が大暴落している証拠でもある。

なぜならGoldは一般的に、世界基軸通貨である米ドル建で価格が表記されており、米ドルとGoldの取引が最も活発だからだ。

これまでの流れとしては、多くの投資家は米ドルを手放し、代わりにGoldを手にしているようだ。

量的緩和が続く限り、この流れは続くと考えられるし、Gold価格は3000ドルを突破する可能性も十分にあり得ると思う。

この予測が正しいのであれば、インフレ対策の一環として日頃からGoldを買っておけば、Gold価格が大きく上昇していく事で自分の資産の増加も期待できるだろう。

3. 希少価値が高い

Goldの希少性が高いことは、皆さんも何となくイメージできる事だろう。

実際その通りで、現在世界に存在している採掘済みのGoldは約19万トン、これはオリンピックの水泳プール3つ分に相当する。

まだ採掘されていない地中に埋まっている量は、残り約5万トン以下。

これらのGoldは、険しい金鉱山の地下深くに埋蔵されているケースが多く、採掘業者が作業途中で命を落とすほど危険な場所の為、採掘は困難を極める。

このようにGoldは希少性がとても高く、それを知っている富裕層は一度Goldを保有すれば簡単には手放さない為、今後もより価値が高まっていくと考えられる。

4. 世界共通の価値

Goldの価値は、日本国内のみならず世界共通と言える。

日本円は日本でしか使えず、米ドルは基本的には米国でしか使えない。(一部例外あり)

その国が発行する通貨の価値とは、その国の経済力や財政状況に大きく依存してしまう。

日本政府の借金が膨大になり、仮に財政破綻した場合はどうなるだろうか?

日本でしか使えない日本紙幣は、文字通りただの紙屑となり、その紙は海外に持って行っても決済に使えない。

つまり、どれだけ沢山のお金を稼いだとしても、そのお金を全て日本円で保有しているなら、ある意味リスクが高いと言えるだろう。

しかし、Goldに関しては世界中の人間、誰もが価値があると妄信している。

その為、日本紙幣が紙屑になったとしても、Goldを保有さえしていれば海外に行った際、Goldを売却し現地通貨を受け取る事ができるだろう。

少なくとも、一文無しにはならずに済むという訳だ。

5. 中央銀行がGoldを買ってる?

各国政府は外貨準備という名目で、自国通貨以外の資産を保有しているのが一般的である。

これは、為替介入や外貨建債務の返済が困難になった場合に用いる資産。

世界の基軸通貨である米ドルは最も信頼度が高く、世界中の政府が米ドルや米国債を外貨準備として大量に保有しているケースが多かったのだが、ここにきて状況が変わってきている。

詳しくは、下記のサイトを参照してほしい。

 

信頼を失いつつある米ドルは売られ、代わりにGoldを外貨準備として採用する国が増加していくと考えられる。

その為、仮にGold価格が大きく下落したとしても、莫大な資金を有する各国政府によって買い支えられると予測している。

これも、Goldを安心して長期で保有できる根拠となるだろう。

デメリット

1. 利息や配当は一切なし

当たり前だが、Goldは株式や債券と違って配当や利子も付かないので、資産の増加スピードはそこまで早くない。

これが、Goldが敬遠される一番の理由ではないだろうか?

昨今は、どこの国も超低金利が続いており、銀行預金の金利も低く、預けていても利式がほとんど付かない状況である。

このように低金利な状況が続けば、Gold価格は伸びやすいと言えるが、仮に今後預金金利が大きく上昇するような事になれば、金利を欲しがる投資家は、利子の付かないGoldを売却し預金をしたり、債権を買う流れが出てくる事も想定される。

その為、政策金利の変動には注目していく必要があるだろう。

2. 景気が良いと下がりやすい

一般的にGold価格は景気が良い時に下がりやすく、景気が悪くなると価格が上がる傾向がある。

これは、先程説明した話と被るところもあるが、金利がGold価格に大きな影響を与えているからだ。

 

少し、景気とインフレの話をここでしておこう。

景気が良くなると物がたくさん売れ、売り上げも大きく上昇し、従業員の賃金やボーナスも増える。

企業はより多くの商品を製造する為に工場を建設する。工場の建設費用は主に民間銀行から有利子で借り入れる。

すると、より大量に商品を製造出来るようになり、そして売上高もより大きく高まり、従業員の賃金も上昇していく。

賃金が増えた従業員達も、お金に余裕ができた為、沢山の買い物をするようになり、経済は好景気に突入していく。

ここで問題なのが、物が沢山買われるようになると、物価もどんどん上昇していく事である。つまりは、インフレの懸念。

給料が順調に上がっている人は生活には困らないだろうが、全員が必ずしも順調な訳ではない。失業している人もいるだろう。

失業者はお金がないのに、経済はインフレが進み、生活必需品の価格が高騰し、生活が困窮していく。

政府はインフレ過熱を阻止する為に、政策金利の引き上げを検討し始める。

そうなると、企業が民間銀行から借金をする際の返済利子が大きくなる為、返済負担が重くなる。

次第に大きな借金をしてまで事業拡大を進める企業の数は減っていき、インフレも徐々に収まっていく。

しかし、一度冷めた景気というのはどんどん悪くなるもので、好景気から一気に不景気な時代に入っていく。

不景気になると物が売れなくなる為、企業の売り上げは低下し、当然のように賃金やボーナスは低下していく。

そんな状況下では、わざわざ事業拡大を進める企業はいないし、倒産する企業、リストラされ失業する人が増えていく。

この不景気から脱却する為に、政府は政策金利を引き下げていく。これにより、企業は銀行からの借り入れコストが安くなり、借金がしやすくなる。

借金がしやすい状況になると、新規事業の開拓や、工場の建設に積極的になる企業が増加し、それらを起点に再度経済が成長していくフェーズに突入していく事が推測される。

 

さてGoldの話に戻すが、景気が良い時はインフレ抑制の為に、金利は引き上げられると説明した。

金利が高くなれば、利子が付かないGoldよりも預金や債券に魅力を感じる人が増える為、Goldは売られやすくなる。

反対に、景気が悪くなり経済活性化の為、金利を引き下げられれば、預金金利も下がっていきGoldが買われやすくなる。

 

景気が悪くなり皆が大変な思いをしている中、Gold価格が上昇し喜んでいるというのは、何だか皮肉なものだ。

これらの観点から、Gold価格を予測する上では、経済状況について詳しく理解しておく必要があるだろう。

3. 為替差損のリスク

Gold現物の国際価格は、ロンドン金市場で一日2回決定される価格が指標となっており、日本国内で取引される金価格も国際価格に連動するようになっている。

 

その国際価格は、米ドル建で表記されるの一般的の為、国内金価格も米ドル円の為替相場に影響される。

結論から言うと、ドル安になればなるほど、円換算した資産評価額が落ちる事になるし、ドル高になれば資産評価額は上がる。

Gold価格そのものが上昇したとしても、ドル安が想定上に進行した場合、為替差損によりリターンはあまり伸びない可能性も考えられる。

 

米ドル円の価格推移を見ておこう。


短期的には上昇しているものの、長期的に見ると米ドルは下落トレンドが続いているようにも見える。

左とチャートパターンが似ているが、同じような値動きをすると仮定した場合、85円近くまで続落する可能性もある。

このように、長期にわたってドル安相場が続いていくなら、Gold投資のリターンも円換算してみると、それほど利益が伸びない懸念もある事に注意すべきだ。

hiroの見解

今回は、Gold投資のメリット・デメリットについて解説してきた。

投資と言えば、株式投資をイメージする人が多いだろうし、実際に投資するのも株や債券などがメインだと思う。

しかし、景気過熱による下落調整や、これから起こるかもしれない経済危機に備える目的として、やはりGoldへの投資は非常に重要だろう。

私自身、100万円以上のGoldを既に保有しており、今後も少しずつ買い増ししていく戦略を立てている。

一度買ったGoldは、基本的に売却する予定はなく、ずっと持ち続けるつもりだ。

皆さんも、将来の危機に備える為、Gold投資の検討をしてみてはいかがだろうか?

まとめ

  • インフレ対策に有効的
  • 希少性が高い
  • 世界共通の価値
  • 利息や配当は付かない
  • 為替の影響が懸念点
  • 将来に備える為、Gold投資の重要性は高い

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