はじめに
はじめまして。システムエンジニアとして、IT企業に勤める hiro と申します。
平日は、情報セキュリティ技術の研究をしたり、システム開発の業務に携わっています。
休日は、投資に活かせる経済情報を調査したり、調べた内容をブログ記事に書いています。
プロフィールに記載されている通り、「投資・経済・軍事・IT技術」などが、私の得意テーマなので、この4つの分野を中心に取り上げていきたいと思います。
この中でも特に興味深いのが、「投資」のテーマです。
社会人として働いた経験のある人は、どんなに働いてもなかなかお金が貯まらず苦労した経験が一度はあると思います。
私自身、新卒就職後に初めて自分の給与明細を見た時は、想像以上に給与から、税金・社会保険料が天引きされていて驚きました。
この先、どれだけの昇給が見込めるのかは不明ですが、給与を上げても税金で沢山取られるようでは、いつまで経ってもお金持ちにはなれません。
また日本の金利水準は非常に低く、貯めたお金を銀行に預金する意味はないでしょう。
もちろん、生活に必要な最低限の資金は確保しておくべきですが、当分使う予定のない資金は金利の付かない銀行預金よりも、多少のリスクを取ってでも投資に回すことも検討しなければならない時代に変わってきていると感じています。
投資はよく分からないし、損をするのが怖いから手を出さない人も多いとは思いますが、これからの日本経済を考えると、もはやそんな悠長なことを言っていられる余裕が無くなってきています。
それでは、なぜ余裕が無くなっているかついて、簡単に解説していきたいと思います。
経済や投資に興味が無かった人でも、現在の日本が抱える問題を知っておくことで、将来の危機に備えておきたいと考え始めてもらえるかもしれません。
日本の厳しい現実
高度経済成長期の輝かしい活気は既に失われ、今の日本人は自国の未来に期待できなくなっている。
その理由は主に、日本経済の成長が鈍化している事と、税金や社会保険料の負担が重くなっている事である。
実際に過去と現在のデータを比較しながら、日本人の生活がどれくらい苦しくなっているのか見てみよう。
1. 日本の経済成長率
日本は第二次世界大戦終結後、空爆で破壊されたインフラを再構築すべく農業・工業生産の基盤を整えていき、正式に独立した時には既に戦前のGDP(国民総生産)水準まで回復している。
また、米ソ冷戦を激化させた朝鮮戦争では、米軍や国連軍から日本に対し兵站強化として、物資・軍事兵器・その他サービスなどの需要が爆発的に急増したことで、日本の経済は好景気に突入した。
その恩恵もあってか、日本の経済は戦後しばらくは世界的に見ても高い経済成長を遂げていく訳である。
上記は、米国・中国・ユーロ圏・日本の、戦後から2020年までの経済成長率が比較された図である。
この図を見る限りでは、日本を除く国々は程度の差はあれど、きちんと経済が成長し続けているのが見て取れる。
しかし、日本だけが取り残されるように、1990年代後半で経済成長がストップし、30年近く5兆ドルの近辺を彷徨っている状況である。
先進国の中でも日本が最低水準の成長率であり、これには「少子高齢化・長期的デフレ・増税」などの要素も多分に影響していると思われる。
2020年3月のコロナショックでは、世界各国がロックダウンを導入したり非常事態宣言を発令したことで、経済活動が一時的に止まり、経済成長率も全体的に低迷した。
とはいえ、ウィルスというものは完全に消え去る訳ではなく、共存しながら経済活動を上手く継続しなければならないもので、米国や欧州では比較的経済活動再開に積極的である。
日本はと言うと、その真逆の政策を取っており、感染者が少し急増すると飲食店に営業自粛を呼びかけ、経済活動を抑制しようとしてきた。
それにより、欧米はコロナによる経済危機から脱却しつつある一方で、日本は出遅れていると指摘されている。
日本の低すぎる成長率を揶揄するように、失われた30年とも呼ばれてきたが、問題は30年で済むのかである。
この先も経済成長率が上昇しない、または逆に成長率が下がるような事態になれば、いずれは先進国から脱落し、発展途上国に次々と抜かれることで日本の地位が失墜するのは明白だ。
2. 増税による負担増加
今の日本国民は、昔と比べると年を追うごとに重くなる税負担に苦しんでいる。
まずは、一般的な会社員が徴税される税金・各種保険料などを列挙してみる。
- 所得税:5%~45%
- 住民税:10%
- 消費税:10%
- 自動車税:年間10,800円~110,000円
- ガソリン税:1L当たり約54円
- 固定資産税:評価額の1.4%
- 相続税:10%~55%
- 贈与税:10%~55%
- 厚生年金保険料:標準報酬月額の9.15%
- 健康保険料:標準報酬月額の5%
- 雇用保険料:賃金の0.3%
- 介護保険料:月5500円程度
日本で生活するには、これらの税金を納める必要があり、年収の高低に関わらず全国民が重い税負担に苦労しているのが分かる。
それでは、過去と比較してどれくらい負担が重くなっているのかを、データを用いて見ていこう。
まずは、20歳以上の国民が支払う義務がある、国民年金保険料の推移を示す。
公的年金制度が始まった初期は、戦後という事もあり日本人の健康寿命は今ほど長くなく、高齢化も全く進んでいない。
また戦後の日本は物価水準が非常に低く、月額100円程度の負担であった。
その後、日本が高度経済成長期に突入していく中で、物価の上昇や医療体制が整っていく恩恵も受けて平均寿命が延び、年金保険料の負担も増加している。
2022年現在は 月額 16,590円に改定され、少子高齢化が深刻化する限りは、保険料負担は増加の一途を辿ると思われる。
次は、厚生年金保険料率 (第一種被保険者の場合)の推移を示す。
厚生年金保険料に関しても国民年金保険料と同様、長期的に増加傾向である点は同じである。
厚生年金保険料は会社と労働者が折半して支払う為、実際に負担するのは9.15%となるのだが、それでも重い負担となっている。
しかし、平成29年9月以降の保険料率は、18.3%として原則固定すると公表されている。
いつまで、この約束が守られるのかは分からないが、少子高齢化をどうにも出来ない以上、あまり期待できそうに無い。
次は、健保組合の健康保険料率の推移を示す。
健康保険料率に関しても、年々増加傾向であり、負担が重くなっているのが一目で分かる。
1年間の保険料金額は、50万円近くまで膨れ上がっている。
健康保険組合連合会の発表によると、今後さらなる高齢者の急増に伴い、2022年以降は保険制度の破綻を懸念しているようだ。
先日、全国健康保険協会運営委員会が公表した資料によると、2022年3月からの健康保険料率は10%を超えた県が非常に増えている。
コロナパンデミックによる医療費負担も原因とされているが、根底にあるのは高齢化が進んだ事と、貧困世帯が増えたことで健康寿命が縮んでいるのも大きな要因である。
2022年の健康保険料負担は、3年前と比較すると年間5万円以上も増えてしまっており、今後も負担は重くなっていくのだろう。
次は、40歳~64歳の人が支払う義務がある、健保組合の介護保険料の推移を示す。
介護保険とは、要介護認定を受けた方が介護サービスを利用する際に使える保険のことで、医療費同様に自己負担が3割で済む。
こちらも長期的に増加傾向にあり、介護を必要とする高齢者が多くなるにつれて、働く世代の負担も重くなるだろう。
2022年から、戦後のベビーブーマーの「団塊世代」が75歳以上に突入し、日本の高齢化社会は非常に深刻化することが想定される。
これを、介護の2022年問題と呼び、2022年からはあらゆる社会保険料が前年と比べて大きく値上げされる。
次は、我らの悩みの種である消費税率の推移を示す。
終戦直後は消費税の導入はされておらず、日本の高齢者が増えていくにつれて年金や健康保険の財源を確保する為に、3%の消費税が新たに導入された。
しかし、バブル崩壊やリーマンショックによる経済ダメージを受け、大量の赤字国債を生み出したことで、3%の消費税だけでは足らず10%にまで引き上げる格好となった。
大変恐ろしい事だが、消費税率は近い将来10%を超えてくる可能性が高いとの見方もある。
IMF(国際通貨基金)は、消費税率を2030年までに15%に、2050年には20%へ引き上げるよう提言した。
本当にそうなるかは分からないが、消費税率は今後、上がる事はあっても下がる事はなさそうだ。
個人的には、消費税を引き上げるほど購買意欲が低下する為、経済成長が停滞しやすいと考えているので、増税には賛成していない。
3. 平均所得の減少
過去に比べて税負担が重くなったことで支出が増えたが、収入である給与所得についても昔と比べて減っている。
支出が増えたのに、収入は減るという、まさに最悪な組み合わせなのだが、実際にどれだけ減ったのかを見てみよう。
まずは、サラリーマンの平均年収の推移を示す。
2000年代から減少傾向であり、2009年はリーマンショックの影響を受けて、大幅に減少しているのが分かる。
2013年から少しずつ回復傾向にあるものの、20年単位という長い目で見ると、やはり平均年収は下がっていると言えるだろう。
中国や発展途上国が急成長し、給与も徐々に増えていく一方で、何故か日本はなかなか給与が上がらない。
これに関しては、様々な議論が展開されているのだが、その中でも大きな原因は日本の競争力が世界的に見ても低下している事である。
つまり、日本の技術力やアイデアが世界に通用しなくなっており、日本の製品が売れなくなっているからこそ、結果的に給与が減っているという訳だ。
次は、平均退職金額の推移を示す。(大企業に35年以上務める大卒者を対象とする)
老後の生活に直結する退職金についても、年々減少傾向にあるのが分かる。
ただし、減少傾向とはいえ大企業の正社員は、それなりに貰えているほうだろう。
問題なのが中小企業やベンチャー企業で、中小企業は経営難に陥るリスクが高く退職金は1000万円程度と少なめに設定されている傾向であり、ベンチャー企業に至ってはそもそも退職金など存在しないケースが多い。
それもそのはずで、一人当たり数千万円規模の資金を用意するのは企業にとっても大きな負担となっており、業績が悪くなると退職金も想定より減ってしまう点には要注意だ。
また、2020年のコロナショックにより、飲食店や旅行関連の企業は既に生き残れるかどうかという状況であり、退職金を用意できる余裕など無い。
平均給与と退職金が徐々に減ってきているのは分かったが、仕事さえあるなら何とか生きていけるだろう。
しかし、2020年のコロナパンデミックを封じ込める為に、日本政府が緊急事態宣言・ロックダウンを打ち出し、経済活動を極限まで抑えこんだことで、大量の失業者と生活困窮者が続出する結果となった。
新型コロナに関連した解雇・雇い止めにあった人数(見込みを含む)は2020年9月25日時点で6万923人。
コロナ感染を抑え込む為に必要な政策であった事はよく分かる。実際に、日本の感染者は世界的に見ても少なく済んでいる。
しかし、職を失い路頭に迷う国民が続出したことは事実で、炊き出しには長蛇の列になっている事が報道されていた。
ワクチンが開発されても、新たな変異種が発見され、コロナとの闘いは当分続く事が想定される為、失業者にとっては全く別の新しい仕事探しを余儀なくされるだろう。
4. 年金制度への不信感
金融庁は「公的年金だけでは老後の資金を賄えず、95歳まで生きるには夫婦で2000万円必要である」と発表し、世間を震撼させた。
ついに公的年金制度の限界を政府が認め、老後に備えて資産運用を検討するなど国民に自助努力を求めている。
誰もが薄々気づいていた事なのだが、年金制度は賦課方式を採用している為、少子高齢化が深刻化するにつれて貰えるお金は減り続けてしまう。
このことを察した若者は、どうせ貰えなくなる年金に対し保険料を支払う意味は無いと思っているのだろう。
しかし私は、その考えは半分正解で、半分間違いであると個人的に考えている。
というのも、年金の財源の3割程度は税金から賄われており、約200兆円の運用積立金からも足りない部分を補填してくれている。
少子高齢化で年金保険料を納める若者が減少しているのは、事実であり厳しい状況なのだが、消費税などの税金や運用積立金などでカバーできるとの見方もあるので、長期的に年金制度の質は下がるものの、皆が懸念しているほど深刻な状況ではない。
その為、年金制度はいずれ崩壊するという意見は、少々行き過ぎた煽り文句なのではないかと思う。
これまで余った年金保険料を積み立ててきたお金を、GPIFと呼ばれる年金運用法人のプロが運用しているので、直近の成績を見てみよう。
何度かマイナスリターンの年もあるようだが、年利は3%超えと悪くなく、ここ20年間の収益額は107兆円を突破している。
国民がコツコツ積み立てた保険料を、リスク資産に投資運用するなどけしからんと批判する人も多かったが、ここまでの運用パフォーマンスをきちんと維持できた事は評価されるべきだろう。
さて、ここまでの話を聞く限りだと、年金制度は案外問題ないようにも思えてくるのだが、私がここで年金制度の話を取り上げたという事は、他にも懸念されている問題があるからだ。
それは、GPIFの資産運用ポートフォリオについてである。
GPIFが運用している年金積立金は国民の血税であり、高齢者の生活資金でもある訳で、失敗は絶対に許されない。
という事は、リスク管理を徹底された世界で最も安全度が高い運用が義務付けられているものだと思わないだろうか?
それでは、実際にGPIFの運用ポートフォリオを確認してみよう。
下図は、今から10年前の2010年(左側)と、2020年現在のポートフォリオ(右側)を比較した図である。
2010年時点では、国内債券の割合が67%と高く、債券を主軸とした運用が行われていた。
しかし、日本国債の利回りは、年利0.1%前後と非常に低水準の為、年金財政上必要な利回りを確保するのが困難になっている。
そして、利回りを確保する為に、金利の付かない債券運用から、ハイリスク・ハイリターンの株式運用へと移行された。
2020年以降は、国内株式が 11% → 25%、外国株式が 9% → 25% と、株式の配分が大幅に増えている。
いくら利回りを確保したいと言っても、株式の配分が50%にまで引き上げられているので、これまでの運用とはリスクもかなり大きくなっている事には留意しておきたい。
コロナショック以降では、量的緩和や世界的に低金利が続いた恩恵も受けて、大きく株価も上昇してくれたので問題にはならなかったのだが、今後は量的引き締めや利上げの懸念も高まっていく中で、株価が大暴落する可能性も否めない。
もし仮に、リーマンショック級の株価暴落が起きた場合は、GPIFが運用している積み立て年金の資産価格も大幅に目減りしてしまう。
将来的に少子高齢化が酷くなり、年金保険料だけでは賄えなくなる可能性が高いというのに、頼みの綱でもある積み立て資産までもが、危険な運用のせいで溶かされる心配をしないといけないので不安は尽きない。
5. スタグフレーションの脅威
スタグフレーションとは、不景気で給与が一向に上がらないにもかかわらず、物価だけは急上昇していく地獄の現象を指す。
給料が低いのに、ガソリンや食品、生活必需品など全般が値上がりすれば、当然のことだが生活は非常に苦しくなる。
ここで注意してほしいのが、物価が上がること自体は別に悪い訳ではなく、価格を上げても物がたくさん売れるくらい景気が良い証拠でもある。
問題は物価が上がるなら、それに応じて皆の給与も引き上げられるのかである。
今の日本は給与が上がらないばかりか、むしろ下がっている業種も多く見られる為、この状況で物価が急上昇するような事態に陥れば、最悪の結末が待っている。
一般的に、経済成長と治安は相関関係にあると言われており、日本は世界的にも犯罪件数が少なく安全なイメージが根強いが、これから訪れるかもしれない大不況時には、強盗や凶悪犯罪が日本で多発するリスクもあるだろう。
日本の治安を維持する上でも、経済成長と物価安定の維持は最重要項目と言えるのではないだろうか?
それでは、日本のインフレ指数について確認しておこう。
1973年までの高度経済成長期では、バブル相場に突入したことで、インフレ率は20%を大きく突破している。
しかし、そこでピークをつける格好となり、その後大幅に下落している。
そして、1985年~2020年の30年以上にわたって物価低迷が続いており、2%のインフレ目標は維持できていない。
日本の低すぎる物価は、先進国の中でも特に低い部類とされているので、他国とインフレ率を比較してみよう。
緑色が日本のインフレ率だが、米国・中国・ドイツと比較しても低水準で推移している。
2020年のコロナショックによる経済危機を受けた直後に、どの国もインフレ率が大幅に低下している。
ここで着目すべきは、経済活動を再開した直後の物価の持ち直しが日本だけが下を向いている点である。
コロナと共存しながら経済を動かす必要があるのに、日本は感染防止に注力しすぎるあまり、インフレ率がマイナス圏から脱却できていない。
結論としては、30年以上続いた低いインフレ率はコロナ禍でも維持されており、しばらくはインフレに怯える必要は無いだろう。
物価が上がらないのであれば、生活苦に陥る人も減るので安心する一方で、他国がこれだけの物価上昇・経済成長を遂げていくのに対して日本だけが不景気のままなのは、必ずしも素直に喜べるものではない。
それともう二つ、個人的に危機感を抱いている事があるので補足しておきたい。
一つ目は、欧米が強権的に推し進めているSDGsである。
SDGs(持続可能な開発目標)とは、17個の世界共通目標を掲げ、「貧困・気候変動・人権・健康・ジェンダー」などの国際問題解決に向けた取り組みを全面的に推進しようとするものである。
環境活動家の有名な少女を筆頭に、CO2の排出量を徹底的に削減する事を強く求める声が世界的に高まった結果、原油や石炭などの化石燃料を使いにくくなったことで、損失を恐れた採掘業者が採掘に消極的になった。
しかし、いくらCO2排出を規制されようと、普段の日常生活では自動車を動かさないといけないし、冬の寒い時期には暖房を使う必要があるだろう。
燃料を必要としている人(需要)は変わらないのに対し、化石燃料を採掘する量(供給)は減っている。
その結果として、原油やその他エネルギー価格全般が高騰しており、ロシアや中東などの資源大国は輸出で儲かる一方で、日本や資源に乏しい国にとっては大きな負担となっている。
下記に、原油先物チャートを掲載しておく。
コロナショックで各国政府がロックダウンを発令した事で、ガソリンなどのエネルギー需要が大幅に落ちたのだが、経済再開に伴い急激にエネルギー需要が高まったことで、原油価格は連日高値を更新している状況。
ガソリンはあらゆる産業で利用する為、ガソリン価格が上昇すると企業側の負担コストも重くなり、その損失分をカバーする為に販売価格に転嫁させる形で値上げするだろう。
これはまさに、インフレ(物価上昇)を引き起こす要因になる恐れがあり、しかもこの場合のインフレはガソリンの輸入コストが上がった事によるもので、国内の平均給与が上がったり景気が良くなっている訳ではない。
そして、これこそがスタグフレーションと呼ばれる現象であり、最も望んでいない展開である。
今後もエネルギー価格の動向には注視しておきたい。
さて、二つ目に私が懸念しているのは円安の進行である。
日本は食料やエネルギー資源の大部分を海外からの輸入に頼っているが、コロナショック以降は円安の進行が著しく、度々問題視されている。
一時は102円付近まで落ち込んだドル円相場だが、米国の経済が急回復した事で一気に116円まで暴騰している。
さらに米国では、2022年3月から政策金利を段階的に引き上げると公表しており、金利が低水準な日本円よりも金利が上昇するであろう米ドルに資金が流れやすい構図が続きやすいだろう。
円安が進むという事は、海外の物を輸入する際の為替レートで不利となり、輸入コストが増加につながってしまう。
逆に輸出企業は有利になるが、近年の日本は輸入企業の割合が増えてきている傾向がある為、行き過ぎた円安は都合が悪い。
米国のインフレ率は7%を超えており、FRBはインフレ抑止の為に、今後もより積極的に利上げを行うとの見方が主流である。
日本政府は莫大な借金の利払い負担を抑える狙いで、利上げを強化する動きは想定しづらい。
中期的に米ドル円相場は、120円を目指して上昇を続ける可能性が高いだろう。
6. 日本の貧困率が増加
日本は先進国として認知されているものの、経済的な豊さを享受できている人は意外と少ない。
経済成長が鈍化し続ける日本では、貧困率が年々増加し、日本の子どもの6人に1人が相対的貧困に陥っている。
例えば、母親と子ども1人(2人世帯)の場合では、年収が172万円5千円を下回ると、相対的貧困に該当する。
また、単身の高齢者が2020年には671万人を突破したとも報道され、介護や生活の支援をしてくれる子どもがいないので、頼みの綱は年金支給のみである。
しかし、先ほども説明した通り、年金制度の質は年を追うごとに低下しているので、あまり期待できるものではない。
2020年での非正規雇用率は、男性が22.2%、女性が54.4%と昔より高まっており、非正規雇用はボーナス支給がなかったり、昇給しにくかったり、毎月収める年金保険料が少ないので将来受け取れる年金支給額も少ない傾向にある。
また、女性は出産・育児などで業務に携われない期間も長く、男性より女性のほうが平均収入が低いと言われている。
興味深いのが、未成熟を持つ夫婦が離婚した場合、90%以上の確率で親権は母親に渡るようで、これに関しても貧困を助長させる要因となっている。
というのも、結婚している間は旦那が仕事で稼ぎ、妻は専業主婦やパートとして、育児に注力しているケースが多いので、いざ離婚したとなると、妻は無職でアピールできるスキルも無い為、そこから正社員になるのは至難の業である。
事実、シングルマザー家庭の50%は、相対的貧困というデータが出ており、たった一人で朝から晩まで働きながら、子どもの世話もするのは大変過ぎるはずだ。
日本は経済大国であるはずなのに、大人一人世帯の相対的貧困率は、世界的に見ても高い傾向である。
今の日本は、もはや先進国ではなく、後進国に降格していると言っても過言ではない。
しかし日本の貧困は、アフリカなどの絶対的貧困地域とは違って、放置すれば明日には死んでいるかもしれない程には逼迫していない。
服装がボロボロとか、心配になるほど痩せ細っているなどと、一目見て明らかに貧困状態だと気付かれないように、母親も努力して子どもにできる限りの食事や衣類を買い与えているからだ。
子どもに貧しい思いをさせまいと奮闘する母親の姿には感銘を受けるものの、母親としても心身を擦り減らしながら働く日々を送っていれば、いずれはガタが来る。
離婚をしたのが悪いとの批判もあるかもしれないが、人生には予測すらできない惨劇が訪れる事もあるし、そもそも結婚相手の事を結婚する前に完璧に把握することなど無理な話である。
日本の貧困問題とは、もはや自己責任で片づけられる話ではなく、国民全員がこの問題に対して向き合い、協力して解決しようとする姿勢が必要だと個人的には考えている。
親の収入が減少傾向にある現状では、子どもの教育環境にも悪影響を与えていると指摘される。
というのも、基本的に貧困は、世代間で連鎖しやすい性質があるからだ。
貧困家庭では、子どもの学習費用が十分に準備できず、学力を伸ばすチャンスが減ってしまう。
それに加え、親が1人の家庭では、子どもが家で孤独に暮らす時間も長くなり、この事が精神的にもかなり悪影響を与えている。
これでは学習意欲も上がるはずがなく、将来の低収入へと直結しやすい。(収入と学力は、相関関係にあると言われている。)
そして、貧困家庭で育った子どもが親になっても収入が少ないゆえに、貧困状態から抜け出しづらく、その子ども達も貧困生活を強いられる可能性が高い。
これこそが、貧困の連鎖と呼ばれるものである。
日本の社会保障制度は、国民から徴収した税金で成り立つ仕組みであり、低収入で税金を納める人が減ってしまうと非常にまずい。
税金を納められない貧困者が増加すれば、最終的に社会保障制度は破綻に追い込まれてしまうだろう。
日本の未来にとって、非常に深刻な貧困問題。
これは、もはや政府の力だけで解決できる問題ではなくなってきている。
国民一人一人が、この現実に正面から向き合い、解決方法を模索しなければならない。
貧困者が増える原因の一つである、奨学金についても触れておきたい。
大学の学費を払えず進学を諦める若者や、いきなり数百万円の借金(奨学金)を背負い、返済に苦しむ社会人も急増している。
2021年時点でも、大学生の半分が奨学金を利用しており、深刻な社会問題として注目されている。
私も学生時代に奨学金を利用していたし、知り合いで 700万円近く奨学金を借りてる人がいたのを覚えている・・・
大学や専門学校の学費は年間100万円近くかかるようになり、実家から遠く離れた学校に通うケースだと、学生寮へ引っ越す事になるので、学費だけでなく家賃や生活費まで補填しなければならず、とんでもない金額の借金を背負う羽目になる。
それだけの借金を背負ったのなら、さぞかし給料の高い大企業に就職できるのだろうと思いきや、実際はそうでもない。
2020年のコロナショック以降、景気は一気に冷え込み、航空・旅行・飲食などの業界は駆逐され、ある意味で就職氷河期とも呼べる不景気では、就職できなかった学生も少なくないだろう。
就職できたとしても非正規雇用であれば給料は低く、またスキルを会得できないような職場であった場合は、転職活動でも不利となってしまう。
貧困の最大の問題は、国が若者の教育に力を入れなかった事に尽きる。
日本の未来を支えるのは若者であり、その若者が貧困に苦しみ勉強に専念できないような国は、滅亡するほかないのである。
最後に
ここまで、日本の厳しい部分ばかりをお伝えしたせいで、読者も気が滅入りそうになったのではないだろうか?
私自身、自分でも記事を書きながら心が荒んできたので、ひとまずはここで切り上げようと思う。
ここでお伝えした以外にも、日本には深刻な問題が山積みで、どれも簡単に解決できそうにないし、もしかしたら既に手遅れなのかもしれない。実際、少子高齢化を食い止める術が無いようにも見える。
しかし、手遅れならば手遅れなりに打つ手はあるはずだ。
日本の未来が想像以上に暗いのはもう分かった、だからこそ本当に重要なのは、ここから自分がどう行動するかである。
本業はより一層の努力をして資格やスキルを身に着け、高収入が得られる人材を目指す必要があるだろう。
そして、金融リテラシーも学ぶ必要がある。いくら稼いでも、現金だけで保有していればインフレになった時に困ることは説明した。
という事は、投資について真剣に考えなければならない。社会人になって都合よく他人が教えてくれるなんて事は滅多にない以上、独学で知識を身に着けるしかない。
当たり前だが、投資の世界とは弱肉強食な金の奪い合いであり、1~2年勉強した程度では全く歯が立たない事を肝に銘じておくこと。
私自身、投資歴はもうすぐ5年目になるが、まだまだ学ぶべきことは山のようにあるし、プロには遠く及ばない事も理解している。
それでも、少しずつ努力を積み重ねて腕を磨いていき、将来に訪れるであろう様々なリスクに対処できる投資家になりたいと思う。
これに共感してもらえた読者がいれば、自分の大切な資産をインフレや金融危機から守る為に、私と共に投資について学んでいこう。
インターネットには嘘の情報が大量に存在するので、一つの情報を信じ過ぎないこと。
それはネットの世界でも、現実の世界でも同じである。知り得た情報は、あくまで自分が決断する為の判断材料にすべき。
一つの情報を信じて行動すれば、失敗する可能性が非常に高くなってしまう。
情報収集する際は、メリットとデメリットの両方を正しく理解するまで調べることが重要である。
これさえ徹底しておけば、最悪の事態を防ぐ事が出来るだろう。
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